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★★★★★
杉浦日向子のエッセイです。このような良質のエッセイを読むと背筋が伸びます。向田邦子のエッセイにもありましたが、「一人を嗜む」と言う言葉がぴったり当てはまります。特に最後の食事に「塩ごはん」を選ぶ感覚に全てが表されていると思います。いい作品です。でも彼女の新しい作品を読むことはできません。凛として生きる女性は短命なのでしょうか。私も四十になりました。まさしく「しじゅうから」で行きたいと思います。現在は文庫版もでておりますので、そちらが入手しやすいでしょう。
夭折した粋な絵師の最後のエッセー
★★★★☆
江戸時代の考証家であり、漫画家というより絵師の最後のエッセーである。 食・道・楽の3つの、それぞれに違った雑誌への連載を文庫にしたものだが、特に、酒にまつわる12か月のエッセーである「道の章 酒器12け月」がよい。レビューワーは日本酒を好まないが、酒と日本へのいとおしさが全てのエッセーに表れている。こんな粋でいいヒトがなぜ夭折してしまったのか。嗚呼! 最後の実兄の小文も妹への愛情に溢れる素晴らしいものでした。杉浦日向子フアンのみならず、日本を愛する人にお勧めの文庫でした。
「酒道楽」
★★★★★
「食道楽」の本というのはいろいろありますが、この本は同じ言い方をすれば「酒道楽」と言えるかも知れません。
その「酒」に対する著者の考え方が最も良く表れているのが、「酔わないなら、呑まないほうがいい。もったいない。呑んで酔わないなんて、酒に失礼だ。酒の神様の罰が当たる。」という箇所でしょう。まさに、愛飲家の一言です。
私も、若い頃は良く飲みましたが、最近は、弱くなったこともあるし、身体のことを気にして、あえて酒量を落としています。飲む機会も減らしましたし、飲んでもほろ酔いどまりです。酒の神様の罰が当たる部類です。
それにしても、この本は楽しいです。「酒」を中心としてつまみの話や、酒器の話、そして身体の話です。酒器については、カラー写真が載っていて、見ていて一杯飲みたくなります。
この本は、著者の最後のエッセー集だと思いますが、著者の晩年の人生観が良く表れています。江戸の話がほとんどないのは残念ですが、楽しい一冊でした。
読みたかった本です
★★★☆☆
読みたかった本でした