お江戸でござる
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江戸時代について書かれているが、いわゆる歴史ものというカテゴリーは非常に弱い。時代を省みることや昔の日本はこうだった、というような記述ではない。視点は庶民的、風俗から生活に結びついたものであり、かつて存在した江戸という地とそこに生きた人々の足跡をそっと感じ、思わず「なるほど」と再確認する。
知識がなくとも読めて、手軽さではある。しかし、それでいて薄っぺらくないものというのは実は相当難しい。が、この本に描写されている江戸(人)情景あり、筆者が見出すものの価値が多く、大きく、そして情緒的かつ文化を感じる。
難しいことや難しい文体で書かれていないため非常に読みやすい。そして何より江戸という地、江戸人を感じることができる一冊。
認識を新たにさせられる
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「江戸事典」というような構成になっており、しかも、その説明の文章が生き生きとしています。読んでいて、江戸の町が目の前に出現したような気にさせてくれます。
この本を読んで、いかに「江戸」のことを知らないかを認識させられました。今まで「江戸」について得ていた情報は、大半が武士の世界のもののようです。ですから、一般庶民の暮しや考え方を新鮮な感覚で受け止めることになりました。
もう一つこの本で得られたことは、日常いろいろ使っている言葉や慣習が、どこに由来しているかで、その面でも楽しく読むことが出来ました。
明治を越えて江戸と平成を繋ぐ本
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近くて遠い江戸時代。それには「明治」がどれだけ大きな壁になったかがよく分かります。
「明治」が否定して捨てた「江戸」を生き生きと蘇らせ、今も町のあちこちにそっと潜む「江戸」を拾い上げるガイドブック。
なんとなく不思議だったけどどうしてかわからなかったことが次々と明らかになります。あーすっきり。
江戸時代を題材にした小説を読む前の予備知識を仕入れるためにも最適の本です。