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悪と不純の楽しさ (WAC BUNKO)

価格: ¥980
カテゴリ: 単行本
ブランド: ワック
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気持ちの良い辛口エッセイ ★★★★★
この人のエッセイはいつも切り口が鋭い。
マスコミが中心となって世の中に形成される正義というものがいかに欺瞞に満ちているか。しかし多くの人がバッシングを恐れてものを言えないのである。
この本には、そういう意味でかなりヤバい記述もある。しかし著者はそれを全く意に介さないで、本質的な矛盾をえぐり出している。そこが読んでいてスッキリする。
宗教を超え,偽善に陥らない中庸な道徳とは ★★★★★
 道徳教育は二つの点で難しい.一つは,道徳は宗教と重なる部分が多く,多くの生徒が通う公立校では,憲法が保障する信教の自由との関係で困難が生じる.二つは,「道徳と偽善は背中合わせだ」という宿命.それらに対して本書は,宗教各派を越えて底流にあるヒューマニズムに立脚し,偽善に陥らない中庸な道徳を,読者が考えるきっかけを与えてくれる.1992年頃執筆の22篇のエッセー集で,各篇10頁程度の読み切りなので,一つを選んで読み考察を深めることができる.
 環境問題に関した一例を引くと「環境保護主義者たちが,その保存を願ってやまない熱帯雨林がどういうところか,どれほどの人が知っているのだろう。...熱帯雨林で人が住もうとしたら、まず、林を切り開いて、虫や動物が好んで棲む湿気た空間を、人間の住処から一メートルでも遠ざけねばならない。...彼らは、すべて煮炊きを薪でする。...■市が、...南洋材の使用を制限することにした、という。工業の基盤のない「南洋」で、南洋材を買ってもらえなくなったら人々はどうなるのだろう。彼らはますます貧しくなり、労働の意欲を失い、人間としての基盤を失い、現実に死んでさえいくだろう。■市のようなやり方こそ、最近の流行的思考の無責任な幼児性を示している。」
その善は本当に善か? ★★★★★
 人種差別に反対する事。戦争は悲惨である事。困っている人を助ける事。募金する事。男女平等に扱う事。自然を守る事。
 それらは一般に、反論される事がない真実であり善行とされている。
 しかし、著者は自身の経験と考察に基づいて、『ちょっと待って』と制止をかける。

 現地の人々と話して当事者の事情を知れば、別の真実があるのかもしれない。当然の理由があるのかもしれない。
 歴史を紐解いてみれば、表面的な事象の奥に隠れた因果が見えるかもしれない。
 立場が異なれば、当然善も悪も変って来るかも知れない。
 
『悪が良い』と言っているわけではない。ただ、それは本当に善と言えるのか、という指摘である。
善とされるものに待ったを掛けるには、経験と洞察と知恵と……あと、いくばくかのユーモアが必要であろう。著者はそれらを兼ね備えている。
『疑う余地の無い正義』を振り回す人達を見て、『言ってる事は間違ってないようなんだがなあ』と、釈然としない思いを抱く方にお勧めしたい一冊です。