全体的に老いの匂いのする作品。
主題は恋愛というより、
老いてきた自分と恋愛との葛藤みたいなところにあると思う。

そして人物描写が非常に上手。
人の欺瞞や滑稽さや心のちょっとした動きを
日本刀のような鋭さでズバズバ切っていく。

ただ残念だったのは、こと主人公に対しては甘めというか
「そこ切っても致命傷にならんでしょー」って部分を
パフォーマンス程度にチョチョイと切ってるだけになってしまってる。

それがために他人はやたら見えてるが自分は見えてないナルシストな主人公、という風にも見えてしまう。
主人公側の心理をもっと鋭くえぐっていれば、凄みを増した作品だと思う。

藤堂さんの作品はこれが初めてなので、他の作品も読んでみたい。

40代・50代になった今の自分の生き方は
若い頃に色々あって辿り着いた、
または、若い頃と同じようなことを
繰り返しそうになって、そういえば、と
思い出して、思い留まる。
そんな物語が5つ入っています。
同年代なら思わず共感でき、
若い年代の方が読んでも意外と
しっくりきそうな感じがします。

２５年ものあいだ、思いを通わせていた彼と私。
人生には、どんなに思い合っていても結ばれないまま終わる恋もある。
私と彼の間にあったのは、悲しくもあり美しくもある絆。

そんな切ない恋を描いた、破局を迎えるまでの２５年間という年月を綴った作品。
２５年という歳月を、だらだらとではなく、テンポよく描かれています。