傑作です。
どん詰まり感のある、煮詰まった作品であることはわかりますが、
レッドゾーンをどうにか克服しようとする彼らの葛藤が作品に顕著にあらわれています。
これまでのアルバムで出してきた様々なアイデアをいったん振り返り、濃縮し、さらに強力な音楽を作ろうとしたのでしょう。
この後のセルフプロデュースを考えると、プロデューサーの土屋昌巳(事実上、第4のメンバー)が、
作家が自分の作品と思考し格闘する事に、かなりふるいをかけていたのがわかります。
作品を作る上で一番大事な事ですね。

この作品以降、彼らの作品は本作とは対照的なストレスの無い抜けのよいサウンドになりましたが、
決してそれは「キレイ」であり本作のような「美しさ」は薄れていったようです。

ギラギラと脂ぎった肉を極限状態の緊張感でそぎ落としていく。その時流れ出した冷や汗が床に落ちるまでの刹那。
命のやり取りを見せてくれます。

気合いの入ったベスト・セレクション・アルバムを出したあと、ブランキーの行き方に一分のスキも無くなった。本作は期待を裏切らず、なおタップリのスリルを味わわせてくれる。詞にも歌にも曲にも演奏にも、そのスタイルはハッキリと確立された。それでもスリルが失せないのは、メンバーの音楽に対するテンションが月日とともに増しているからだろう。
ブランキーの詞には独特の小道具が登場する。まずその代表は1の♪アラスカ帰りのチェインソー♪だ。法律だろうが鋼鉄だろうが、引き裂いてくれるノコギリを、客観的に描写するのではなく、それに成りきって歌う。また9は、タイトルがそのまますべてのイメージを決定する強さを持つ。腰の動きに合わせて揺れるフリンジだけで1曲が成り立っている。ここまで潔く美しいロックは近ごろ稀だ。
ブランキーの曲には独特のロマンがある。バラッドのリズムの3は、ティーンエイジャーたちのファンタジーをメロディにしてみせる。ラテン味の5は、深まる情感を狂気の淵に追い込む。
演奏のスケールの大きさを感じさせるのは7だ。ロックンロールのラフな器の中で、3人が火花を散らす。ワイルドさは彼ら本来の持ち味だが、そこに構成力が加わった。このあたりが95年のブランキーの特長だ。
それにしても、立ち止まらないバンドだ。2はそんな彼らのテーマ・ソングと言える曲で、♪この細く美しいワイヤーがきれるまでと♪というフレーズに、ブランキーの当時の切れ味をみる。土屋昌巳のプロデュース・ワークも冴えて、聴き応え十分だ。

普通のロックを、普通でないバンドがやると、どうなるか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう。普通でないロックになるのです。o(≧∀≦)o3ピースで、無駄がないゆえ、三人の音がよく聴こえます。斜陽最高です。傑作。

このアルバムはもっと評価されるべきだとおもうけど、ドラムの音の弱さが残念でしょうがない、、
ぶっちゃげブランキーのCDはドラムをあと1、3倍ぐらいでかくすりゃぁオーバーダビングなんて必要ないんだよ!

　1.2.4.6.が最高。
　このアルバムの1.2.4.あたりのキレのすごいハードな曲が好きな人にはブラック・サバスの「テクニカル・エクスタシー」をすすめる。
　静かな曲以外は全曲同じ勢いとキレで走っている。一直線という感じなんだと感じます。「C.B.Jim」、ビデオの「Candy & Hell」が好きな者のつぶやきとしてはもう少し多様な方がいい。