黒船からカンテサンスまでの150年
★★★☆☆
ムッシュ村上より前の日本フレンチ史について全く知らず、「天皇の料理番」秋山徳蔵のことも名前のみしか知らなかったので、興味深く読んだ。ムッシュ以降についても、平松、キハチ、三国のほか、カンテサンスの岸田シェフなど東京フレンチ史を飾る重要なシェフについて必要な程度に概要が書かれており、理解が深まった。
エスコフィエの重厚なフランス料理からモダン化へ、料理人から経営者兼任へ、本場フランスのポール・ボキューズ、アラン・デュカスなどの天才料理人が70〜80年代に大きな影響を与えたが、今は日本からもフランスの料理人達に影響を与えているという。その一方で、ミシュラン三つ星がいくつも輝く時代(著者は☆の乱発に否定的だが)にあっても、本場フランスでの修行というのが変わらず重要であることは確かなようだ。