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新装版 不確定性原理―運命への挑戦 (ブルーバックス)

価格: ¥987
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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   一般読者むけに量子論をやさしく解説した本である。都筑卓司が約30年前に著わしたブルーバックス新装版の4冊目になる。本書の元本の出版は1970年である。星飛馬の「消える魔球」や、夏目漱石の小説『三四郎』に出てくる野々宮さん(寺田寅彦がモデルだといわれている)の物理学談義、ウエルズの透明人間、SF戦争などの話題を織り交ぜながら、近代物理学の重要なトピックである量子論の周辺を説明している。

   話はまず、現在の状態を完全に測定できれば未来も完全に予測が可能だというラプラスの世界観(ラプラスの悪魔)から始まる。続いて、光が粒子と波動の両方の性質をもつ話が出てくる。そして、光のエネルギーには単位量があって、それ以上小さく分割することはできないというプランクの量子仮説、その量(プランク定数h)を求める実験へと進む。さらに、計測の際に位置を決めようとすれば速度があいまいになり、速度を決めようとすれば位置が不正確になることから、ラプラスの因果律にもとづく決定論的世界観を否定する話になる。また、計測するという行為そのものが、計測の対象の状態に影響を及ぼすことから、ハイゼンベルグの不確定性原理が出てくる。これが本書の書名でもある。

   ノーベル物理学賞受賞者たちの業績を、湯川秀樹博士の中間子論も含めて、多数紹介している。ヘリウムは絶対零度でも凍らず、液体としてわずかながら運動をしていることも、古典的な物理学によるイメージを変えた。最後に、放射性元素の入った容器の中に閉じ込めた猫について、2分の1の確率で放射されるアルファ粒子が出れば死に、出なければ生きている装置になっているとき、その生死は生と死の状態を半々にもったものだ、というシュレーディンガーの猫の話題を取り上げている。

   本来は複雑な数式を用いて説明する内容を、日常的なことばでわかりやすく、縦書きの本の中で解説しようとした著者の努力が結実した1冊だといえよう。(有澤 誠)

結局、手引き書も書き手のセンス ★★★★★
によって左右されます。1970年前後の時代に、ボーア、シュレーディンガー、ディラックから江崎ダイオードまで、ほどよく配置しています。このバランス感覚がありがたいと思います。
本書に勝る入門書はないのでは ★★★★★
私は科学系の書籍に多数目を通してきましたが、「不確定性原理」についてここまで分かり易く解説したものを他に見出すことはいまだに出来ません。
乱暴な言い方をすれば、本書を読んで「不確定性原理」の核心が理解出来ないようなら、この手の世界には縁がないものと諦めた方がよいのではないかとすら思っています;
でも、今このレビューサイトに興味を持って眺めているような方なら心配ないでしょう(笑)
既に内容紹介や他のレビュアーの方が言及されていることですが、卑近な例えで本質に切り込む著者の手腕は非凡としか言いようがないですし、単純に「面白い」読み物として肩の力を抜いて楽しめる内容になっていますから。
肝心な部分が抜け落ちている気がする ★★★☆☆
この本のいい部分については、他のレビュワーさんの方々が述べているので、ここではよくないと思った部分について書く。

「実は両方の(位置と速度との)ボヤケぐあいの間にはある関係があって、極端にいえば、位置をピタリとはっきりさせようとすると、速度はゼロから無限大の間で不確定となる。」(p102〜103)

しかし、この「不確定」というのは「人間が測ることができない」というだけであって、「実際に速度が決まっていない」かどうかはこれまでの話じゃわからない。
しかし続けて

「このことは、速度はその間である一つの値をもっているのだがわれわれにはわからない、と考えてはいけない。電子がその間で一つの速度値を持っている、という保障自体何もないからである。正確な速度は神さまさえもご存じなかろう。
電子はそのとき速度はゼロかもしれないし、無限大かもしれないし・・・・・・というのではなく、これまでの話の様子ではどうやらゼロであると同時に無限大でもあり、ゼロであると同時に一でも一〇〇〇でもその他あらゆる速さを持つ・・・・・・という妙なことであるらしい」(p103)

いや、だから「なぜ」そういえるのか、が知りたいんじゃないですか。「保証がない」からといって「それが誤りである」と証明されたわけでもないのに・・・


ということで、不確定性原理の非常に重要な部分が抜け落ちている気がする。
世の中が不確定であることを知る一冊 ★★★★★
「位置と運動量を同時に正確に測ることは不可能である」という現代物理の柱となる原理がある。それが不確定性原理である。本書はこの不確定性原理とそれにまつわる話を分かりやすく解説した本である。
内容は、「巨人の星の消える魔球は不確定性原理を用いたものだ」という話から始まり、ラプラスの悪魔という古典物理の考え方を語り、本題である不確定性原理及び現代物理の基礎的な話と進んでいく。そして、最後に太平洋戦争のことが書かれて終わる。解説は大変分かりやすく、たとえ話も面白い。本書の原著は30年前ぐらいに書かれたもので、内容もその当時と変わっていないらしい。しかし、30年の歳月を感じさせない面白さが本書にはある。まさに時代を超えた名著である。
最後に、著者である都築先生はすでにお亡くなりになったらしい。都築先生のように戦争を体験された方が段々と少なくなっているんだなぁ…と実感する本でもあった。著者の冥福を祈りたい。
たぶんもっとも親切な量子力学の本 ★★★★☆
量子力学の中心的な概念である不確定性原理についてわかりやすく説明した本です。わかりやすいと言ってもさすがに限度があり、誰にでも即座に理解できるというような内容ではありません。若干だが数式も使われています。しかし、数式を出すことによってむしろ理解が具体的になるという面もあり、この本ではむしろ数式がメリットとして機能しているように思います。

私はこれまでに何冊か量子力学についての本を読み、その度にわかったようなわからないような気分になったのですが、この本を読んだ後が一番頭がすっきりしたような気がします。ただ、2002年に出た新装版とは言え、中身は1970年の初版と同じなので、その後の学説の進展には触れられていないのが残念です。