師弟!
★★★★★
凄い映画である。
病気だけでなく人の心まで治す赤ひげ先生はとにかくかっこいい。
ただし映画の前半はちょっとどうかと思う部分もある。
抱きしめさせて腹刺させてしまう女のエピソードはちょっと強引だし
自分はまったく悪くないのにそれを自分のせいのように思う旦那の考え方も納得がいかないのだけれど・・・
これは時代の価値観の変化というものなのかもしれない・・・
が、そこからは怒涛のように泣けるエピソードが続く、
あまりにも素晴らしいのでこの先のエピソードはもったいないから書かないが
とにかく脚本、キャラクター、演技が素晴らしい!
手塚治虫のブラックジャックが赤ひげの影響を受けていることは間違いないと思うが
逆に言えばブラックジャック好きなら観て損はないはず。
特に師弟というものに思い入れのある人なら人生最高の一本となりえる映画だ。
医術は仁術
★★★★★
山本周五郎の小説「赤ひげ診療譚」を原作とした黒澤明監督作品。
制作には2年の歳月をかけて作られ、後半にはドストエフスキーの
「虐げられた人々」を取り入れて構成されている。原作者の山本
周五郎自身が「原作よりいい」と発言したといわれており、興行
上も成功をおさめたそうです。
複雑な人間模様
描かれているのは江戸期の小石川療養所。医者や賄いの人々、当
然病人や、医師の家族。様々な人々の人生が強烈に描かれている。
保本(加山雄三)という若い医者が、医者として成長する部分を描
き、さらに、関わる患者や家族の人生や人間模様を描く。
人の死を通して導く物語もあれば、健康な人間のドラマもある。
今なぜ、この人は病気なのか。この人の心は病気ではないのか。心
の病気や傷は癒すことが出来るのか。
人間の幸福とは何を基準にするべきなのか。(答えはないが)
そういった心を豊かにする為の要素がたっぷり入っているような気
がした。
名作です。皆さんもご覧ください。
黒澤監督最後の、最高の白黒映画
★★★★★
途中に休憩が約5分ある大作だが、長さは気にならない。貧しい人々の苛酷だが人情もある現実と、それを正視する孤高の医師・赤ひげ(三船敏郎)に最初は反発しつつも徐々に医者のあり方を学ぶ医師・保本(加山雄三)の成長の物語。「生きる」よりも泣けるし、好きな、黒澤ヒューマニズムものの中では最高の映画だ。
最高の白黒映画でもある。例えば暗い室内で強調される眼の輝きを強調する光と陰の使い方、フレームの中の人の立ち位置・動きやトリミングを計算し尽くした構図と流麗なカメラワークが素晴らしい長回し場面の多用等、撮影の完成度は神技に近い。井戸底に向かって叫ぶ女たちを見上げ、一転してシームレスに井戸の底の水に映る彼女たちを捉える場面は、カメラのマジックに幻惑される。
荘厳な臨終場面を演じる山崎務と藤原釜足、狂気や不幸を抱えた女に扮する香川京子、根岸明美、二木てるみ等の演技は文字通り鬼気迫るものがある。
日本の白黒映画を支えた田中絹代と笠智衆を迎えた本作で、黒澤監督は白黒映画に、三船敏郎は黒澤作品に別れを告げるが、最高の白黒映画を遺してくれた両人に感謝したい。
名医との出会いにより成長する、青年医師の純粋な心
★★★★★
留学先の長崎から帰った青年医師、保本(加山雄三)は
小石川養生所で医師として働くことになります。
その養生所を仕切っていたのはベテラン医師、新出(三船敏郎)でした。
彼のもとで働いていくうちに、保本は医師として人を助けることの
意味を見出し、養生所に生涯を捧げる決心をするのでした。
若き日の加山雄三と、黒澤映画の必須キャスト三船敏郎の名演が光ります。
彼らの名演により、医師がなすべきこと、人を助けることとは何かという
黒澤監督の問いかけた根源的な命題が浮き彫りになります。
医術とは仁術である、そんな言葉を再認識させられる名作です。
医師の方には、ぜひ一度観ていただきたい作品です。
男の理想形の姿として強烈に胸に刺さってくる
★★★★☆
この「赤ひげ」のキャラクター造形は昭和世代には、男の理想形の姿として強烈に胸に刺さってくる。
加山雄三が最後に慕っていくという演出に説得力を与える上での言動や行動、そして演ずる三船敏郎の振舞いがなんとも男くさくて痺れる。
途中結構HEAVYなエピソードが入ってくるのでファミリーで観るのはちょっと覚悟が必要かもしれないけれど、だけどそんなこと気にするのもちっちゃいと思わせるくらいの大作ですよ。
なんだかんだいって少年の目線で見ると赤ひげが女郎屋の女将から女の子を助ける件の大人数を相手に格闘するシーンが一番アガッちゃった。
反発していた加山雄三が徐々に「赤ひげ」を認め出し、とうとうお仕着せを自ら着込むシーンも良かったなあ。
その他、腹を減らした3人の子供が人の目が無くなった瞬間におにぎりに食らいつくシーンとかグッとくるシーン、印象に残るシーンはいたるところにある。
3時間もある大作ですが損はしないはずですので、一度は観ておくべきでしょう。