さすが、なかにし礼。自身が作詞家なので、歌に対する思い入れが深い。古賀十二郎をして歌の霊性を語らせるあたりはなかにし礼自身が語っているかのように感じさせられる。
あとでわかったが、この小説、実在の人物の実際にあった話らしい。しかし、事実は事実にしても、ここまで艶っぽく詩情豊かな物語にできたのは、なかにし礼ならではの才能だろう。