男子が少女性に憧れ、女子が少年性に憬れたあのころ
★★★★☆
「乙女ちっく路線のイラストで人気を得ていた『りぼん』は、1970年代後半に入ると女の子だけでなく、男の子の愛読者も多かった。」って書いてあるんだけど、まさにボクがそう。中二の級友に「キャンディ・キャンディ」を教えられたのをきっかけに、最初は「なかよし」を買っていた(「キャンディ」第4巻の分厚さが懐かしい!)。で、やっぱ「なかよし」はちょっと幼くって、「りぼん」も買うようになり、そのうち「りぼん」だけを毎号買うようになった。まさに乙女ちっく派〈ふろく〉三羽烏の陸奥A子、田淵由美子、太刀掛秀子の全盛期で。高校の男子には太刀掛秀子が人気で、ボクもよくノートにそれ風のイラストを書いて級友に自慢げに見せびらかしたもんだ(後から見たら超ヘタクソなんだけど)。ふろくのレターセットは女の子との文通に使ったりした(恥)。まぁ、当時、急激に男子は幼くなったんだよ、実感として。ゼンキョートーの熱さもシラケ世代のシニカルさもなく単純に幼いという。
当時、「りぼん」とは別の一派として勢力があったサブカルが「OUT」。「ヤマト」と「超人ロック」ね。「スタートレック」とかもフォローしてて、オタクの走りだよなぁ。もとい、男の子が少女まんがを好んで読む一方で、一部の女の子が「ボク、ボク」言う時代でもあってさ(ex.高橋亮子「つらいぜ!ボクちゃん」 、松本ちえこ「ぼく」)。男子が少女性に憧れ、女子が少年性に憬れたって一時期があったんだよね。まぁ、モラトリアムの自己肯定ってことなんだろうけど。この本に出てくる「りぼん」の表紙やふろく、「あっ、この表紙の号は買った!」「このふろく知ってる!」の嵐で単純に懐かしかったし、あの時代って何?ってあらたな謎を突きつけられた気もする。
もっと幼少の記憶として、(母親の持ってた洋裁の本にイラストが載ってた)内藤ルネも懐かしいんだけど、この人、すごく今っぽい。ちょっと発見である。