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中空構造日本の深層 (中公文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論社
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両極が中空でバランスする日本とは… ★★★★☆
故河合氏の書にあって、教育・心理・家族などとは少し離れた日本という国家の構造を
著者の専門から俯瞰した内容となっています。
本書は互いにほぼ独立した3部により大きな構成がされていますが、2部の昔話や
民話から心理学的解明を試みていますが、十分に解ききれていない感じが伝わってきます。
秀逸なのが1部の神話から日本の構造を読み解く部分で、私たちが意識する・しないに
関わらず、日本人の深層には両極に対峙する神の中心に中空となる神の存在(3神)が
あり、それらが善が悪となり、更なる逆転もあるという曖昧でありながら、うまく
バランスされるという神話が息づいていて、そのような思想に基礎を受け社会や国家が
成り立っているということが示されていることです。
また、第3部の「フィリピン人の母性原理」では、限られた情報からアジアに位置する
英語圏であるフィリピン人の原理についても、考察を試みています。十分ではありませんが、
読み物として面白い内容となっていると思います。
かなり古い書になりますが、混乱を極めている日本社会を新たな視点から敷延した
内容は今なお通用するものであり、お奨めしたいものです。
「好むと、好まざるとも心の深層に存在するもの」 ★★★★★
「好むと、好まざるとも私たち日本人の心の深層に流れているもの」を
あきらかにした書。

 書では、私たち日本人の心の性質と欧米人のそれとを対比させ、日本人特有の
心性の探求を行っている。
 ここでユングの元型論的な視点によって、日本人の民族の神話と、私たち
日本人の心の深層との関係が見えてくるのだ。

 しかし、このような探求を試みる時、私たち日本人のよい面ならず、悪い面、弱点
までもが、見えてきてしまうのである。
 もちろん、これは私たちにとって、心地良いものではない、しかし、私たちのよい
面だけではなく、負の面に向き合ってこそ、私たち、日本の文化的発展があるのだ。

 また、河合隼雄氏は単純な欧米文化の取り込みに警鐘を鳴らしている。それは私たち
日本人の心性のプラスの面まで破壊しかねないからである。

 河合隼雄氏の云う「中空構造」の問題は日本人の心の深遠に関わるものであり、これからの
日本の精神的、文化的な発展、もしくは衰退を左右する重大な事柄である。
日本人の思考の原点を読み解く ★★★☆☆
古事記・昔話・民話・神話といったものを読み解くことで、日本人の思考の原点を探ろうとした批評本です。ずいぶん前の本ですが、そこで論じられていることが実は平成の現代においてもかなり的確に当てはまる様は、著者が深く洞察をしてきた結果であり、時代に流された薄っぺらな批評をしているのではないことの証とも言えます。「現代青年の感性」の項では、マンガについて論じていますが、このあたりは資料も古く、現代のマンガが描こうとしている、「映画的コンセプト」とは趣が古い感じがします。とはいえ、民話・神話を考察して、国民性を解明しようとする項については、広い視野で納得性が高く、大変楽しく読むことが出来ました。
独特の視点で現代日本の問題点を分析 ★★★☆☆
河合氏が、1979-81年ころに中央公論に掲載した論考を中心にした、雑誌初出の批評文のコンピレーション。

古事記に題材を求め、日本のパワーバランスのあり方、つまり必ず二つの勢力が拮抗するよう調整する行動様式を描き出しています。これと、一神教のキリスト教世界ヨーロッパの一元的な教義/行動様式との比較を通して、日本人の心理の深層に迫ります。そして、この分析で得たツールをもとに、現代日本の病理を読み解いていきます。

初出からかなり経っていますが、その視点はいまだ新鮮で、現在にも適用できるものです。今まで疑問に思っていたことに、なるほど、とうなずける説明が付きます。なかなか刺激的でした。