古事記に題材を求め、日本のパワーバランスのあり方、つまり必ず二つの勢力が拮抗するよう調整する行動様式を描き出しています。これと、一神教のキリスト教世界ヨーロッパの一元的な教義/行動様式との比較を通して、日本人の心理の深層に迫ります。そして、この分析で得たツールをもとに、現代日本の病理を読み解いていきます。
初出からかなり経っていますが、その視点はいまだ新鮮で、現在にも適用できるものです。今まで疑問に思っていたことに、なるほど、とうなずける説明が付きます。なかなか刺激的でした。