第１巻は、戦前の文献など、まず普通には目を通せない貴重資料が多かったので非常な感動があった。

第２感は黒澤監督全盛期の文章はどれも興味深かったものの、既にマスコミ攻撃に晒され、かつご本人が多忙を極めていたので、案外ご本人直筆、ご本人へのインタビューが量的に少なくなりつつあった点が少しさみしかった。（ただ、個人的には冒頭の写真ページの故村木美術担当が所蔵していた素晴らしい絵や写真の数々に息をのんだ）

本巻は、７０年代後半から逝去までの時期に当たり、文章のみならず映像でも、他に多くの記録が残っている時期なので、内容全般に希少性が少なくなっているのは事実。キネ旬記事なら「黒澤明集成」T〜Vでほぼ網羅できる。その意味で、同じ金額とページ数である１，２巻と比べると割高感はある。

それと、特に最終３作あたりの内容は、黒澤さん自身が高齢化してクドくなったこともあるだろうし、諸事情から積極的にマスコミ露出した際にマスコミ側が同じ質問を繰り返している事もあるだろうが、発言・文章に同じ内容が繰り返される。ちょっと読んでいて挫けそうになった。

このあと、第４巻も出るそうだが「蝦蟇の油」などの既発文章の全文収録など、全巻集めた時の集積度は高まるが、当初求めていた希少性というあたりは更に薄くなるかも。

でも、たぶん買っちゃうな、私。

私が黒澤明を追っかけはじめたのは『デルスウザーラ』の公開前後からに過ぎませんが、2巻目以降は重複する資料がほとんどです。
その多くは、古本屋で容易く入手可能なのではないでしょうか？また、まだ新刊として入手可能なものも少なくありません。

それでも、これから黒澤明について学ぼうという人には、お手軽に一括して多くの資料に接すことが出来る絶好の機会を作ってくれるシリーズかもしれません。
編纂者の名前も大きく出し過ぎです。