前進し続けたコルトレーンの1スナップ・ショット
★★★★☆
本作はジョン・コルトレーンのライヴの傑作との定評がある。異論はないが、私は彼自身の表現を追求する旅路の1スナップ・ショットと捉えたい。
本作で一番画期的な曲は「スピリチュアル」。エリック・ドルフィーがバス・クラリネットで参加しているだけでも貴重だが、全体にコルトレーンにしては音の数が少なく、ゆったりとしたテンポの曲で、文字通り精神世界に足を踏み入れている。彼が精神的なものをテーマとした曲を採り上げたのはこれが最初ではないだろうか。以後「至上の愛」を1つの頂点とする彼のスピリチュアルな音の追求・革新は続くが、その第1歩となる曲・演奏だ。
2曲目以降テンポは速くなる。2曲目はコルトレーン流スタンダードの演奏で、マッコイのピアノが多くフィーチャーされている。そして3曲目はピアノ・レスのトリオでの演奏で、本作を支えるベースとドラムの演奏が最高潮に達する。
廉価盤だが、24ビット・リマスタリングされた音をルビジウム・クロック・カッティングでディスクに刻んでおり、音質は悪くない。ただ、ジャケ裏面に03年の日付が印刷されているのはどういうことなのかな?