さくら書房
★★★★★
ぞくぞくするほど美しい日本語に触れる一冊です。旧暦九月十三日の後の月のころ、ある方から一葉の『十三夜』をすすめていただき衝撃を受けました。自由をもたないころの女の哀しみ、すくいようのない貧困。一葉は明治女流文学の第一人者、天才とまでいわれた作家ですが、結核を患い二十四歳の若さでこの世を去るまで、生涯を不遇のまますごしました。哀しみに彩られた言の葉に織りこまれた数々の美しい季節の欠片はあまりにも淡くはかなく、物語の結末に救いも解決もいっさい期待されてはいません。作品を読みながら、しずかに流れる短調のひびき、どん底の暮らしをじっと見つめつづけた一葉のこころの叫びが聞こえてくるのです。『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』などは、一葉晩年のたった十四ヶ月の間に生まれた奇跡ともいえる名作。もっと生きて、その慟哭をいつか昇華させてほしかった。
ぼたん
★★★★☆
樋口一葉自身の悲しい恋がこのような物語を生み出すのでしょうか?新五千円札の記念にぜひ!にごりえ,十三夜,たけくらべ,大つごもり,ゆく雲,うつせみ,われから,わかれ道の8作。
本屋ふたたび
★★★★★
文語体(一葉の文体は正確には雅俗折衷体というらしい)に不慣れなので、最初は辞書を引き引き読む。「たけくらべ」は「ガラスの仮面」でマヤが美登利を演じていたのであらすじは把握済。じっくり読む。そうすると、文体の美しさのみならず、その文体で語られるからこそ立ち上ってくる風景、心情があることに気づかされる。文語体が読みにくいという人にも短い作品なので口語訳や現代語訳ではなく、この文体で挑戦してほしい。信如の鼻緒が切れ、雨の中立ち往生している姿を格子ごしに伺う美登利。一言も言葉を交わさずとも二人の間に流れる不思議な感情の生起と交換。そして、吉原という場所にもたれかかるように生きている人々。聖と俗とは表裏一体。雨にぬれる紅葉模様の友仙ちりめんの端切れ。「にごりえ」酌婦と、酌婦に夫を骨抜きにされた妻。ふたりの女性が描かれる。けど、精密に描かれる、というよりは、それぞれの女性の生きている漠とした何かを、作品全体で表現しているように思う。なんて奥深い。
女子大生の本屋さん
★★★☆☆
新5千円札の樋口一葉の作品。個人的には「たけくらべ」が好きです。十三夜もなかなか好きですが。値段もリーズナブルですし、新渡戸稲造からのバトンタッチ記念に読んでみるのも良いのでは?
8585_books
★★★★★
『たけくらべ』は、ゾクゾクしてくる日本語ですかね。読んでいると、目の前に美少女な美登利がいて語りかけてくれているような、そんな感覚になるかもしれない。