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山本七平の日本の歴史〈上〉 (B選書)

価格: ¥1,000
カテゴリ: 単行本
ブランド: ビジネス社
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歴史書はいつの時代もその歴史書が書かれた時代を反映する ★★★★☆
「日本人論」とか「鴎外論」とか「女性論」とか、日本人はよく論を立てたがるが
(というのも日本人論のひとつだ)そのなかの「天皇正統性論」に、山本七平が挑んだ。
『日本の歴史』を謳っているが、まあ「日本の今の時代を形づくったったもの」と言った意味である。
通史ではない。

この本は著者の「歴史書はいつの時代もその歴史書が書かれた時代を反映する」と言う山本理論に貫かれている。
それを立証する資料として取り上げられているのが、漱石の『こころ』そして、北畠親房の『神皇正統記』である。
漱石をれきしょとして読む試みは、なかなか面白い。

ところで、「歴史書はいつの時代もその歴史書が書かれた時代を反映する」と言うなら、今はおそらく女性について
の歴史書が、脚光を浴び、それが時代に逆照射して女性のスーパースターが現れるはずだが…  
それが、勝間さんだったり、蓮舫さんだったりするのだとしたら、ちょっぴり寂しい
奇妙な比較の取り合わせであるが、分かりやすいのはなぜだろう? ★★★★★
「日本の歴史」といいながら、基本的には後醍醐天皇の南北朝と、夏目漱石の「こころ」という時空を超え、性質を異にする事象の比較をしている。
 この一見何の関係もないような比較を通じて、日本人のあるいは、天皇制の本質を示している。
 ただ、浅学非才の小生が言うのはおこがましいが、やはり、あまりにとっぴな比較の中から真実を引き出そうという試みは見事に成功しているように思えるけれども、他方、「この比較で日本の全てを論ずるのには無理があるのではないか」とも思えた。
南北朝期を境にして変質した天皇制 ★★★★☆
日本の歴史全般について述べているような印象をタイトルから受けるが、本書はあくまでも「後醍醐天皇を中心とする南北朝期と、夏目漱石の『こころ』から読み解く日本人論」であって、それ以外のことについてはほとんど触れられていない。

しかし、現代に通じる天皇制は南北朝期から始まったのであり、それ以前の天皇制と性格を異にしていることや、中国型の皇帝政治が日本で成功しなかった分析などは巧みである。

明治を例にとるなら、日本には幕府という仮政府と、幕藩体制という仮の体制があったため、それを崩壊させることで西欧からの衝撃を吸収したのである。それは後醍醐天皇と足利尊氏の合作とも言える体制だったのだが、そのような体制でない中国では、中国人が中国人であることをやめない限り西欧化は無理だったのである。

ただし、『神皇正統記』や『太平記』などからの、原文のままの引用が非常に多く、古典の成績が非常に悪かった私には、読みづらかったことも確かである。さらに、日本人の時間の観念についてなどは哲学の領域にまで踏み込んでいて、かなり難解である。気軽な気持ちで読み始めない方が良いと思う。
(下巻のレビューに続く)
便ださむ ★★★★★
私たちは、下克上の考え方に縛られているのか、なるほど、そして、その行動原理を正当化するために、滅私奉公をしているのか、なるほど。そして、滅私奉公していれば、誰も文句を言えなくなってしまう。
逆に他の人から自分が見えてしまう人、また滅私奉公が過ぎる人は、その村から阻害され、村八分にしてしまうのか。
ところが、その両今日極端が世の中を変えて、発展にも破滅にも導いてしまうのか。
下克上だから、日常の意思決定は、現場で勝手に進んでいるのか。村八部にならないように。なるほど。
私たちのこの行動原理に対峙しなくては、止揚できないのか。
やはり、イザや便出さむ!
日本人を見つめ続けた著者の思い ★★★★★
数年前に文芸春秋の「山本七平ライブラリー」を読みかけて途中で挫折し、その存在を忘れかけておりました。没後14年目にして新作刊行!驚きつつ購入しました。天皇制を論ずるのに夏目漱石から入るというユニークな切り口。ユダヤ教・キリスト教と日本・日本人を論じ続けた著者の、融通無碍でいながら強靱な思索力ならではのものだと思います。多事多難の折、個々の局面を考えると共に、日本人の根幹を考えるという立場を常に意識しなければ、という思いを新たにしました。生前からユニークな著作活動で知られた人ですが、今にして改めて思うと、貴重な人を失ったのだな、と感じます。これを機にまた取り組んでみようかなと思います。