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隠し剣秋風抄 (文春文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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剣を持つ男をそれを動かす女がいい ★★★★★
時に洒脱、軽妙に、また深刻、凄惨な剣をつかう主人公の武士(男たち)を支える、転ばせる女たちがとてもよい。司馬遼太郎を読んだ後は、藤沢周平か池波正太郎に限る。
藤沢さんが愛した下級武士たちの尊厳 ★★★★★
本作で取りあげられるのは九つの秘太刀である。
酒乱剣石割り
汚名剣双燕
女難剣雷切り
陽狂剣かげろう
偏屈剣蟇の舌
好色剣流水
暗黒剣千鳥
孤立剣残月
盲目剣谺返し

藤沢さんは「締切りに追われて書くのは苦しいものだが、この中には
楽しみながらかけたもののもある」と言う。そのひとつは『盲目剣谺返し』
ではないだろうか。秘剣を使う場面を描写するのは大変な苦労であろう。
様式的な美が必要で、剣の振る舞いを描く筆力が必要で(映像なら殺陣師が担当する)
秘太刀には読者が驚く発想が必要だ。
さらに.秘太刀を使えあざるを得ない物語的な背景も必須である。
どの短編もそれらすべてを備えて、読むものを離さない。
お勧めできない一冊 ★☆☆☆☆
キムタク主演の「武士の一分」の原作で、ちょっと気になったので読みました。武士の一分の原作となった章は、面白かった。面白いというか、真面目だった。20ページくらいしかないのをどう映画化したのか非常に興味深い。それ以外が心配です・・・。かなり、怪しいです。つまんないわけではないんですが、・・・。やっぱり、実際の歴史上の人物でない人に興味がわかないです。
武士の一分の大義の下に ★★★☆☆
映画『武士の一分』の原作は、この本に収められている『盲目剣谺返し』だ。
そして当然のことながら、映画と原作はちょっと違う。

何が違うのかというと、原作の三村新之丞はキムタクほどかっこよくないのだ。当たり前だけど。
その代わり、生活感があってたくましく、それまでの人生を背負った「男」であり、「武士」なのだ。
美男子となっているのだが、そんな雰囲気ではないのだ。

新之丞は妻の加世を愛している。愛しているので、「男がいる」との噂に絶えられない。
武士の一分の大義の下に、憎い間男を成敗するのだ。

多分そうに違いない。
藤沢周平の小説で描かれる、真の武士、真の男というものは、そのような自身のプライドよりもっと大切なものをもっているのだから。
新之丞にとっては、加世の存在なのだ。

離縁するのも、万一に備えて、加世に難儀が及ばせないため。
憎い間男である島村は組頭という権力者なのだから。

その証拠に、見事、島村を討ち果たし、加世が戻ってきてくれたときに、喜んでいるのだから。

プライドよりもっと大切なもの、それを見つけてこその人生なのかもしれない。
全体としては楽しめるが出来不出来の差が大きい印象 ★★★★☆
「隠し剣」シリーズ第二段。主人公達の秘剣と男女の機微の融合が本シリーズの特徴だと思うが、本作は女性の魔性と清廉さを対比して鮮明に描いている印象。

「酒乱剣石割り」は酔う程に剣技が冴える主人公が痛快だが、さして効果的とは思えない主人公の妹の淫乱な転落物語を挟む所が本作の趣向か。「汚名剣双燕」は驕慢な女に振り回される主人公の悲哀に忸怩とさせられる。「女難剣雷切り」は女運の悪い主人公がコキュ役まで演じさせられる悲哀を滑稽味の中に描いたもの。「陽狂剣かげろう」は藩主の息子に許婚を奪われた主人公が陽狂を装っているうちに、本当の狂気に陥ってしまう様を描いた異色作。前二作と合わせ、現代にも通じるテーマが続く。「偏屈剣蟇ノ舌」は偏屈者の藩士を扱って「たそがれ清兵衛」を思わせるが、偏屈者だからと言って刺客役を仰せつかる構想は無理があろう。「好色剣流水」は主人公が本当の好色なので読んでいて共感が沸かない。女性だけでなく、男性の色欲と堕落を描こうとしたものか。「暗黒剣千鳥」は藩の権力闘争を背景に、主人公の婿入り話と暗殺劇を巧みに織り交ぜた佳作。「孤立剣残月」は過去に上意射ちを行なった主人公が四十を過ぎて、その弟の仇討ちの意志の噂を聞き、周囲に右顧左眄するが相手にされない様子をユーモア味で描いておいて最後に泣かせる心憎い構成。「盲目剣谺返し」は味見役として盲目となってしまった主人公とその妻の苦悩と夫婦愛を描いた秀作。「武士の一分」と言う言葉は有名になった。

バリエーションを付けようとしたものか、作品毎にレベルの差が大きい気がする。姉妹作に比べ凄みのある秘剣が少なく、人物設定やストーリー展開も物足りない気もするが、藤沢作品の味が堪能できる好短編集。