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田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫)

価格: ¥999
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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飛んでます ★★★☆☆
私は「空気頭」という短編により深く感嘆しました。「田紳有楽」も面白いのですが、あまりに突飛すぎて私には少し規格外でしたが、「空気頭」の方は凄いです。


冒頭に私小説であることが示唆され、なお私小説には私見だが2種類のもの(分かりやすく端折るなら、リアリズムと入れ物としての形態としての私小説の2つ)があり『私のは後者である』ということわりがあって始まるのです。最初は妻の結核の看病から始まり、今の私の自分の日常、そして回想へと連なってゆくのですが、その境目がとても微妙で、文章から文章への区切れがとても曖昧に感じます。もちろん曖昧模糊にしているのだと思いますが、その技術が素晴らしく、読みふけっていると意識が埋没してゆく錯覚に陥ります。そのうえで、とてもおかしな仕掛けがあって、それがまた凄かったです。


自身は医者であり(眼科医、どうやら本当のようです ウィキ調べ)、医学的知識を述べながらも客観性を残しているように見せ、その上でとても背徳的でどうしようもなくストレートな表現を用いて吐露します。


後は読んでいただくしかないのですが、この作品が発表されたのが昭和42年、そんなに昔じゃない気もしましたが結構前のことですね。これは凄いと思いました。私小説であり、告白ものであり、幻想ものであり、なんだか勝手なカテゴライズを拒否するかのようなものでした。


「田紳有楽」もかなり凄い飛び方ですが、これはもうSFみたいな感じですし、インドも入ってますし、湯呑もアレですし、凄いです。ただちょっと飛びすぎな感じで私の好みは「空気頭」でした。これを映画にしたら、多分かなりのカルト映画に出来そうです。ただ、シュールさとスケールの大きさは「田紳有楽」でしょう。私の読書体験で言いますとちょっと安部公房さんに近いテイストかもしれません。


変わった読み物を求めている方にオススメ致します。
ぶっ飛びました ★★★★★
なんだコリャ(○Cジーパン刑事)!凄い小説!田紳有楽…藤枝静男…知らなかった〜勉強不足!いやーこの感激忘れません。とにかく面白いから読んでみな、と勧めてくれた飲み屋のマスターに感謝!
小川芋銭に通じる「田紳有楽」 ★★★★★
川上弘美が書いた書評を読んだ。そういえば昔買った覚えがある。はさまっていたレシートを見ると1993年。池の底ならぬ書棚に沈んで十余年である。空中移動や変身の術は身につけていないだろうが、確かに古色は帯びていた。

作品についてはあれこれ言うことはない。間然とするところのない、見事な文章である。とりわけ、小川芋銭の絵を思わせる「田紳有楽」は優れて視覚的でありながら、映像化は至難と思われる。これぞ文芸の力である。

一方解説は、素直を書けばいいものを、こね回してわざわざ難しくしているような文章である。あんたの偉いのはよくわかったから、わかるように書いてくれ、と言いたくなる。こういう文章が、たとえば大学入試問題で読解力を試すのに使われ、若者の読書離れに寄与していることはほぼ確実と思われる。文章は情報の伝達手段であって、自己陶酔や自己顕示の手段ではない。小難しい文章を書くのが偉いのではないのだと、私は文系の連中に強く言いたい。
一度読んでみるといい ★★★★☆
『田紳有楽』は破天荒な作品だ。音楽に例えればアドリブをふんだんに取り込んだフリージャズと言える。読めばそれが判る。話の展開が何処に着地するかなど一切わからない。著者本人でさえ明確に着地点を想定せずに書いていた節がある。地味な私小説リアリズム的な始まりから空想力が突如として爆発大炎上し、更にヒートアップして燎原の如く読み手の既成概念を燃やし尽くす。この作品は日本文学において空想力を最大限発揮した作品のメルクマークとも言えるだろう。
 ただし、併録の『空気頭』に関しては個人的に今ひとつであった。
極私小説 ★★★★☆
私小説を突き詰めるとこうなる
という見本である。
シュールさは安部公房をも
軽々と凌ぐ。

藤枝さんが自らの全集すべてに
サインを入れたというエピソ-ドは
氏の人柄をよく表している。
曰く「読者とより深くかかわりたい」
作品は読むものをワシ掴みにする。