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青が散る〈上〉 (文春文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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どことなくなつかしい。 ★★★★☆
新設大学のテニス部を通して、そこに打ち込む青年とその周りの生徒、そして友達や先生との交流を描いている。人間の描写が素晴らしいし、設定がいい。今の大学生とは、社会背景も悩みも相当異なるのだろうけれど、一昔前はこのようだったのだろう。
主人公は、なんの目的もなく新興大学に入った青年。で、成り行き上なんとなくテニス部に入る。大学のテニス部を創設する大男と高校時代に有名なテニス選手だったが心を病む青年と偏屈な青年、そして2名の女性部員と裕福な女子大生1名が中心になって話が展開していく。何気ない話なのだが、引き込まれる。あっという間に読み終わってしまった。読み終わったあとも、さわやかだ。
小説版「タッチ」か? ★★★★☆
1982年初版、
新設大学テニス部を舞台とした青春小説。
恋に、スポーツに、未来に悩む内容で、
小説版「タッチ(あだち充)」といったところでしょうか。

ただ主人公は、
恋も、スポーツも、未来も、華々しいエリートというわけではありません。
よって作風も爽やか一色ではなく、
少し内向的な、冷めた感じになっています。

「ライバルはお金持ちでスポーツ万能」という
トレンディドラマのようなベタな設定なので、
読みやすく、
主人公の持つ青春特有の悩みに強く共感できると思います。
ほろ苦い青春小説 ★★★★★
 ほろ苦い青春小説です。
 テニスに打ち込む青春小説でもあるのですが、
 主人公にからむ様々な人物がまた魅力的です。
 ん十年前の石黒賢のドラマの印象が大変強く、ドラマを
思い出しました。 
 なつかしい青春時代のひとこまです。
夏子と燎平 ★★★★★
夏子と燎平は、青春の象徴です。
「青が散る」は、夏子と燎平の出会いからその決別までを描いています。

二人は無垢であり、不器用で、それ故に傷つきます。
それは読者にとって、自分を重ねることのできる、身近で共感できる恋愛です。
20歳前後、子供でも大人でもない時期に、
誰でも燎平が夏子に恋するように誰かに恋した経験があるはずです。
イノセンスな燎平に自分を見いだして、切ない気持ちになるのだと思います。

物語の最後に夏子は彼女の分厚い殻を破って求愛します。
胸を打つシーンです。
一方、燎平は二人の人生が重なり合うことがなかったことに気がつきます。
お互い愛し合っているのに、燎平はそこで別れを決断します。

この恋愛で燎平が下した最初で最後の決断は、夏子との別れです。
若さとは「大事なものを失うこと」でしょうか。
別れていく二人に、読者は、若さ、青春を見ます。
その儚さが美しく、心を打つのだと思います。

あんなに大事な出会いはなかったのに、若さ故に逃してしまう。
青春の苦さとは美しいものだと、
本作を読むたびにつくづく思います。
なるほど!! ★★★★★
確かにおもしろいです!!レビューがすごく高かったので期待して読んでみました。私は宮本輝さんの本をまだ1冊しか読んでないのですが、それが『避暑地の猫』でした。今回、『青が散る』という青春小説を読んで解説者の森絵都さんが言っていたように、私にはこの本が光よりも影に見えました。読んでいて確かに若者が出てくるし学校生活が描かれているけれど、内面の悩みや葛藤は影のもので、明るい小説というよりも“あぁ宮本さんだなぁ〜”という小説でした。