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幕臣たちの明治維新 (講談社現代新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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江戸末期から明治への歴史に興味がもてた ★★★☆☆
日本史は特に好きではないのだが、ラジオで面白いと勧めていたので、読んでみた。
徳川側でリストラされた武士たち、ついていった武士たちを軸として、本は進む。
特に山本政恒という下級武士の日記が、頻出する。
その日記の克明さと、リアリティをもとに、明治のはじめという時代を再訪している。
この本を通して、学校で習ったこの頃の歴史が、いかに勝者によって作られたものであるかという事を、考えさせられた。
明治維新が好きな人には、番外編というか、別の見方のひとつとして、とても参考になる本ではないだろうか。
いつの世もリストラは過酷なもの ★★★★☆
明治維新により解体の憂き目を見た徳川家臣団のその後を辿った好読み物。新書版という制限から、それほど詳細な叙述がなされている訳ではないが、余り知られていないテーマでもあり、興味深く読んだ。幕臣であった山本政恒(まさひろ)の残した記録などを元ネタとしているが、この人物はかつて天璋院(篤姫)の警衛役を勤めたこともある由(106頁)。筆者はいう、「いわゆる薩長土肥という藩閥政府の国家運営の土台は、実は幕臣が支えていたのである」(93頁)。渋沢栄一や福沢諭吉、前島密、成島柳北、福地源一郎、栗本鋤雲はいうまでもなく、各所にわたる維新後の人材不足の折、各界に人材を供給したのは「旧幕臣団」という人材プールであった。要は、能力があれば食うに困らないというのは、時代を問わず真理であるということか。
第2の人生、人それぞれ ★★★☆☆
徳川宗家は大政奉還して、領地が10分の1になり、静岡への異動を命じられるのだが、家臣も10分の1にしなければいけないのだが、結局相当な人数が静岡まで随行してしまう。上級家臣は100分の1とか目も当てられない俸禄しかもらえず、多くの家臣も俸禄など当てにできない状況が続く。さらに版籍奉還もすると家臣もへったくれもなく、放り出されてしまう。

渋沢栄一のようにスカウトされた幕臣もいたが、多くは在野で活躍した。ジャーナリストになったり。ジャーナリストは意外と反骨な主張で政府にかみつき、投獄されてしまったり。明治が始まってもしばらくは、幕府への懐古をよりどころに政府批判を繰り返し、それが江戸っ子にも意外と受けた。そんな第2の人生を送った人もいれば、農業を始め静岡のお茶を全国ブランドに育て上げた人たちもいる。

人生ピークを過ぎて意外な事を始めていたりして、面白いのだが、本書もご多分に漏れず、幕臣の第2の人生を古資料に沿いながら、面白く書いている。
敗者たる徳川家家臣たちの明治を概観 ★★★★☆
本書は、明治政府成立後の徳川家家臣(幕臣)たちのその後を取り扱った本である。勝海舟、榎本武揚、渋沢栄一等の一部幕臣が明治治世下でも活躍したことは知られているが、大多数の旗本・御家人たちが明治以降どのような運命をたどったのか、一般に知っている人は少ないと思う(私もその一人)。そうした敗者の歴史を辿ったものとして興味深い本である。
 明治政府の命で静岡に移った徳川家は家臣たちに、明治政府への出仕、自分で農業や商売を始めるという選択肢も与えたが、ほとんどの家臣は、静岡藩が財政逼迫で大幅なリストラが必要だったにもかかわらず無禄覚悟で静岡に移住する途を選び、結果として過酷な生活を強いられた。自分で商売等を始めた家臣もその多くは厳しい生活を送った。明治政府に出仕した者も人々から白眼視された、という。その他、幕臣たちは人材の宝庫で明治政府からのヘッドハントがあったこと、明治政府の中級以下の官僚の多くが旧幕臣だったこと、幕府のお膝元東京では反明治政府の裏返しとして西南戦争での西郷人気が高かったこと、そして明治22年に開催された東京開市(=家康江戸入城)300年祭は幕臣も集まったほか江戸を懐かしむ沢山の市民で大人気を博したこと等が語られている。
 我々が知る薩長等の勝者の歴史と異なる、一般に知られない敗者の歴史(加えて当時の東京の人々の幕府への思慕)を要領よく分かりやすく書いており、気軽に読みこなせる。ただ、手軽さを意識したせいか、大まかな点だけが語られている感があり、敗者の歴史として読むには内容にやや物足りなさを覚えた。例えば、一般の旧幕臣たちが明治政府の治世で何を思って生きたのか、彼らの生の声をもう少し取り上げても良かったのではないか(本書の記述からある程度は想像可能だが)。また、本書で一部が取り上げられている山本政恒の自分史の記述も興味深く、これを中心に据えて書いても面白かったのではないかと思う。
旗本八万騎の行へは? ★★☆☆☆
旗本八万騎といわれた徳川家の家臣たち。
明治維新と共に彼らは職を失った。
一体彼らはどこへ行ったのか。

本書では、明治維新により、一大リストラにあった幕臣たちのその後を追っている。
彼らの行く末は大きく分けて、3つあった。
一、明治新政府への出仕。
二、帰農、帰商。
三、徳川家(静岡藩)への奉公継続。

しかし、いづれも棘の道であった。
一を選び新政府へ出仕しても、与えられるのは下級吏員の職。
所詮は薩長中心の新政府内で肩身の狭い思いをしなければならなかった。
二を選んでも、まず、帰農は知行地を持っている極一部の上級旗本のみしか選択できなかった
(旗本、御家人の多くは知行地を持たない蔵米取り)。
商いの道は「武家の商法」という言葉が示すとおり、ほとんどが失敗に終わった。
三を選び、徳川家と共に静岡に移転しても、彼らの知行はなく、俸給は旧幕時代に比べると、
10分の1以下で、なきに等しいものであった。

さらに本書では、幕府の御徒組みであった一人の幕臣(山本正恒)の明治維新体験記を紹介し
ている。こちらのほうが、かえって秀逸。
桜田門外の変の体験(彼は当時江戸城内に出仕していた)、鳥羽伏見の戦いの体験
(鉄砲隊として大坂城内にいた)、上野の彰義隊の目撃(彼の家は上野広小路)、
そして静岡への移住。
みな自らが体験したことを綴っており、当時の空気を知るとても貴重な資料となっている。

しかし、本書は「幕臣たちの明治維新」と銘打ち、維新後の彼らの姿を追うような書き出しで
スタートするが、話があちらこちらに飛びすぎており、
最後は平成のこの時代の徳川家と旧幕臣たちの関係にまで及んでいる。
できれば、旧幕臣が維新後どのように過ごしたかを、もっと徹底して探ってほしかった。