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幕末維新 消された歴史

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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江戸っ子史家の反骨魂 ★★☆☆☆
 数多い歴史マニアのレビュアーが、本書にまったくふ
れようとしないのは何とも合点のいかぬことです。論旨
の当否はともかくも、少なくとも論評には値いするもの
だと思います。
 本書が力説するのは、忘却された敗者の歴史です。
そして著者が注目したのが、京都守護職のあった会津
藩の盛衰と王政復古後の徳川家の家臣の運命です。
会津藩主松平容保は、将軍一橋慶喜に振り回された
挙句、帰国の決断がつかぬまま、薩長の憎まれ役を引
き受ける羽目に陥ります。また、王政復古後に駿河移
封のなった旧幕臣達が辿った悲惨な顛末も考えさせる
ものがありました。
 確かに著者が、偶然性や意外性を必要以上に強調す
るのは気になりました。例えば鳥羽伏見戦争での薩長
側の勝利は、武器と軍編成が勝っていた故であったこと
は今日明らかなことで(保谷徹『戊辰戦争』2007)、いさ
さかバランスを失してはいます。それでも敗者側からの
視点を持ち出し、明治維新の流動性をよりリアルに捉え
ようとしていることには固有の意義があるものと思いまし
た。
 最後に、エピローグで紹介されている史家大久保利通
と当時の参議院議長・松平恒雄(松平容保の子)の会
話も印象深いものでした。このエピソードは冒頭にもって
きた方が著者の意図がより鮮明になったと思います。