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中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)

価格: ¥600
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論社
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僕も草刈りが上手くなりたいです… ★★★★☆
「僕」が思いをめぐらすのは、今までに出会ってきた「中国人」について。
模擬テストで送り込まれた中国人学校の教師、僕が「ひどい間違い」を
して泣かせてしまったバイト先の中国人の女の子…。


本書は主人公「僕」と中国人たちの数奇なつながりを書いた表題作『中
国行きのスロウボート』をはじめとする、8つの物語を収めた短編集だ。
冒頭にて「僕にとって最初の短編」と記されるが、このように物語の欄外
に「僕」として著者自身が浮上してくるところは、彼の初期の作品らしいさ
をかもしだしている。短編集においても、やはり「僕」というのは世間の価
値観とちょっとずれてて、何においてあまりこだわりがなく、かといって仕
事の手際はきわめてよろしく、変に目立ちたくはなく、なのに目立ってしま
うような怪事件に巻き込まれて、それでいて女性は勝手に寄って来る、そ
んな男なのだ。

それにしてもこれと読むとわかるのは、ムラカミにとって「心のふるさと」は
やはりアメリカであり、原光景はその70年代あたりなのだろうということ。
彼がそれまでそっぽを向いていた国籍上の母国の方に振り返り、そのこと
をもっと真剣に考え、小説の題材にし始めるのは、もっと後になってからの
話。ブリンストンに留学し、オウムを経験し、デタッチメントやらコミットメント
と騒がれ出してから後のことだ。

それにしても「カンガルー通信」みたいなおしゃれな「ラブレター」が、僕にも
書けたらなぁ。もちろんそれの通じる相手が必要なのだけれども。。
村上春樹は最初から短編がうまかった ★★★★★
村上春樹の最初の短編集。
書かれた時期は「1973年のピンボール」と「羊をめぐる冒険」のあたり。
私がこの短編を読んだのは随分後だったが、初めての短編集だったと知って驚いた。
基本的には長編小説家で、その合間に短編小説を書いたり、翻訳をこなしたりするのが村上春樹。
それでもその短編小説はいつでも一定のクオリティを保っているのが村上春樹。
この短編集を読んで改めて気づくが、彼は「最初から」短編が上手かったのだ。
ファンに評判の良い「午後の最後の芝生」はこの短編集に収まっている。
私もかなり大好きだ。
芝生刈り、中年の女、夏の日差し、若い女性の部屋。
初めて読んだときに思い浮かべた光景を、今でもあの頃と同じように思い浮かべることができる。
読んでいて、夏の日差しと共に心を占めるのはある種の切なさか。
それはおそらく読む者によって違う種類のものだろう。
悲しさとはまた違う、夏の儚さとともに思い出される自分の切ない思い出と微妙に絡み合ってしまう要素が、「午後の最後の芝生」にはある。

秀逸だ。

そして、「シドニーのグリーン・ストリート」では羊男が登場する。
長編小説の筋とは関係ないが、ファンとしてはうれしい。
高レベルな短編ばかり ★★★★★
著者初の短編集。どれもレベルが高くて面白い。あえて挙げるなら「午後の最後の芝生」かな。長編「羊をめぐる冒険」とつながる「シドニーのグリーン・ストリート」も他のものとは毛色が違うが面白い。「ニューヨーク炭鉱の悲劇」はタイトルと本文とのつながりは一体何かと考えてしまう。
珠玉の短編小説 ★★★★★
「珠玉の短編小説」ということばはこの短編集のためにあると思う。

初期の村上春樹のいいところがにじみ出ている。

「僕は渋谷でだって冒険できる」のくだりがすごくいい。

大きいことをしなくても、日常の中にこそ発見があったりする。

僕もそのことを大事にしていきたい。
『午後の最後の芝生』のみずみずしい作品のタッチが、とても素敵だ ★★★★★
 著者の第一短篇集。七つの短篇が入っています。初出掲載は、次のとおり。
『中国行きのスロウ・ボート』――「海」1980年(昭和55年)4月
『貧乏な叔母さんの話』――「新潮」1980年12月
『ニューヨーク炭鉱の悲劇』――「ブルータス」1981年3月
『カンガルー通信』――「新潮」1981年10月
『午後の最後の芝生』――「宝島」1982年8月
『土の中の彼女の小さな犬』――「すばる」1982年11月
『シドニーのグリーン・ストリート』――「海」臨時増刊「子どもの宇宙」1982年12月

 なかでは、随分久しぶりに再読した『午後の最後の芝生』が、やっぱり素敵だった。この作品のみずみずしい香り、主人公の十八か十九歳の夏の思い出の風景は、本当に魅力的で、ただ好きだ、としか言えない。主人公の青春の気分が、透明な清々しさをたたえたタッチで、実に品よく描かれているから。格別、次の二箇所の文章に惹かれた。≪空には古い思いでのように白い雲が浮かんでいた。≫ ≪日の光が僕のまわりに溢れ、風に緑の匂いがした。蜂が何匹か眠そうな羽音を立てながら垣根の上を飛びまわっていた。≫
 それと、『シドニーのグリーン・ストリート』に挟まれた三枚の挿絵(飯野和好)が、いいね。私立探偵の「僕」、ウェイトレスの「ちゃーりー」、ぶっきらぼうで乱暴な「羊博士」の三枚の挿絵。