Sweet Baby James
価格: ¥939
1970年に発表されたジェイムス・テイラーの2ndアルバムは、<7>のヒットをきっかけに彼をスターダムにのしあげたばかりではなく、それまで注目されることのなかったシンガーソングライターという存在そのものをアピールすることになった。メッセージ性がなくとも個人の生活光景や内面の描写に優れ、音楽的に高度であるならば、聴く者はそれを表現に値するものとして評価したのだ。
個人の心象から切り取られる彼の光景の背後には、必ずHYMN(聖歌)的な救済があり、福音の光がある。それは暗闇から明るい場所へ出ていくイメージであり、あるいは長い夜が明けて朝へ向かう心の動きだ。ややもすると甘くなる表現を、彼はバランスの取れた知性で抑えている。
音楽的にもたいへんにバランスがよく、マイルドなカントリーを基盤にブルース、R&B、ゴスペル、ブルーグラスといったルーツ音楽を高度に理解、解釈したうえでアレンジに加えている。ティン・パン・アレーに通じる都会的なフレーバーもあり、色あせることのない作品。(駒沢敏器)