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家族シネマ (講談社文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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演劇っぽい展開です ★★★★☆
10年も経って(現在2008年)ようやく柳の作品を手に取った。自分のマイ・ペースぶりは別に心配していないが、奇妙なことを感じる。作品のことは何一つ知っていなかったということだ。比較するが、鷺沢萠のデビュー作はきわめて古風な趣があった。大学進学に固執していた元セレブなお嬢さんが日本文学史の正統なトレンドに乗って生み出されたもので、以後、作風が模索されるようになっても、基本的にはキチンとした文学作品だった。それであるがためにかえって芥川賞の受賞にはいたらなかったのかもしれない。
それに対して、高校を1年で中退したという柳の作品は特異な表現になっている。読書から博大な知識を積み上げたものではなく、自分の人生から模索されて発生した果実だ。「芥川賞」の照準はそういうものに向けられているようだ。
「家族シネマ」はバタバタした小劇団の芝居の展開を髣髴させる。表題どおり、家族総出演の映画が撮影されようとし、それに巻き込まれた素美だが、引きずられながらもなんとなくビミョーに立ち会ってしまう。「家族」というものの引力の強さを感じさせる。お父さんが一番それへの幻想を抱いているのだが、家族を崩壊させた張本人でもある。お母さんはこんなお父さんのことを「林さん」と呼んで、もはや赤の他人だ。映画を撮る元となったAV女優の妹の存在感が薄いのも至極当然。伏流として登場する彫刻家の深見はベッド代わりにゴムボートに寝ているがこの道具立ても演劇っぽい。年長の男に素美は魅かれるがこれは作者のリアルなところではなかろうか。20〜30歳くらい年上の男に惹かれる女って時々いるものだ。危険と安心のあわせもった年齢に見えるのだ。
共感できない・・・ ★★☆☆☆
族ってなんなのか、よくわからなくなった。
私には読むのは早すぎたのかもしれない。

主人公に共感することができなかった。
まぁ共感できる作品ばっかりよんでも仕方ないとはおもうけれど。

こんな家族があるんだろうか。
現実味がなくって、作品の中の家族の話なのに、
作品のなかの作品の家族の話をよんでいるような、
奇妙な感覚になった。

私にはどう表現したらいいのかちょっとよくわかりませんでした。
ここで触れないが、私としては本書の『潮合い』が一押し! ★★☆☆☆
 標題作『家族シネマ』のほか、『真夏』『潮合い』の2篇が収載されている。第116回芥川賞受賞。

 一読後の印象としては、「すんなり入っていけない」という感じがした。『家族シネマ』も『真夏』も語り手の言葉や事態の展開やそれに対する人物の内的必然性を読み取れない。

 おそらく作者の中には(内的必然性が)あるのかも知れないが、それが書かれたものを通して私には汲み取れなかったのである。

 文脈から判断はできるものの、「は?」と感じて読者としては一瞬立ち止まってしまわざるを得ない表現をあげておく。こうした表現は、俗に「ひとりよがり」と呼ばれるが、創作の世界ではそうでもないのかも知れない。(前者の「パン」するというのは、芝居や映画か何かの業界用語なのだろうか。私は寡聞にして知らないが、知らないのは読者としての私が悪いのだと言われそうである。また、後者は「できない」の後に句点が抜けているだけかも知れない。)

 ○「片山の目は私をパンして、妹に向いた。」

 ○「私は温室の臭いに馴れることができない農薬が鼻につきエチレンガスを含んだ湿気が私を息苦しくさせる。」

 本書に収載されている作品に共通しているのは、主人公の現実感覚のなさであろうか。「現実感のないひとにしか惹かれない」という『家族シネマ』の主人公の言葉は端的にそれを示している。家族であれ、学校のクラスであれ、形成された他者との関係や集団の持つある種の虚構性を見据えながらも、主人公はふわふわと浮遊した感覚でいる。

 のみならず、その浮遊した感覚の中で、他者(との関係性)に対して抱く懐疑や憎しみは出口を見出せずにいる。それは他者が何かをもたらしてくれるという期待感とも、自分で未来を切り開いていくという自信とも無縁な世界である。

 ○「両親に自分の気持ちを汲んで理解して欲しいなどという希みはとっくの昔に棄てていた。動かないことだ。いつか自分を取り巻く風景は静止する。そのときが訪れたら自由に行きたいところへ歩き出せばいい。」

 しかし、「そのとき」が永遠に訪れなかったとしたら……。多くの読者が感じるであろう「暗さ」や「やりきれなさ」は、柳美里が形成する作品の磁場によるものだと言えよう。
いかにも、現代風な軽文学。 ★☆☆☆☆
 文学らしいのは、最初の2行ぐらいで、あとはよくある凡庸、冗長な文学。毒にも薬にもならない。
壊れもしなければ、くっ付きもしない、それが家族だ。といえばそうなるが、もっと、緻密な心理分析、内面描写が欲しかった。
おいてけぼりな気分 ★★☆☆☆
仲の悪い家族が妹の願いで再び集まって映画に出演する話。

場面がぱっぱと切り替わり、そのどれもが投げっぱというか
結果という形をとらずに終わっているので、読んでいておいてけぼりな気分。
しかも全体を覆う世界観がどうにもねっとりとしていてしんどい。