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スローモーション (ポプラ文庫ピュアフル)

価格: ¥567
カテゴリ: 文庫
ブランド: ポプラ社
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「黄色い目の魚」に連なる系譜 ★★★★☆
初めて読んだ佐藤氏の著者はスポーツ小説「一瞬の風になれ」でした。
次に「しゃべれどもしゃべれども」を読んだ。

女子高生が主人公の作品はちょっとなーと思っていたのだが、面白かった。
「黄色い目の魚」に連なる、多感な思春期を描いた作品だ。

主人公も良かったが、スローな動作の同級生の話も、もっと読んでみたかった。
丁寧 ★★★★☆
女子高の1年生の主人公。兄はニート、両親はわけあり。
いつも動作がスローな同級生・及川周子が気になってしかたがない。

問題を抱えた登場人物たちが出会い、干渉し合う。
派手な事件は起こらない。
ちょっと歪んだ家庭の、ありふれた光景。

各人物たちが懸命に生きる姿を、丁寧に丁寧に描写している。
特に主人公の心の動きが、丁寧に追われているのがいいですね。
心打たれます。

テイスト的には「サマータイム」に近いでしょうか。
派手ではないのに、心に残る。
この作者のいいところが出ている作品だと思います。
その時間の流れが、彼女を変えていった。 ★★★☆☆
読みやすい彼女の文体も、ちょっとスローモーションな感じ。

主人公の少女は、きっと誰でもそうだった瞬間があるような少女。
一風変わった彼女の兄。
そして、すべての動きがスローモーションなクラスメイト。

少女が彼女と過ごした時間は、とてもスローモーションなような時間で、それは、はたから見ると、
腹立たしいくらいなスピードで、他を寄せつけない。
ひとたびそこに身をおくと、その心地よさを感じていく。

ただ、そのスローモーションにも意味があり、それは、良くも悪くも、自分に影響していた。
女子高生の彼女が、少し遠回りをして、少し大人になろうとした物語。
二重の基準 ★★★★★
 社会で生きていくための基準と、自分なりの正義感から来る基準の2つにうまく折り合いをつけているはずが、どうしてもちょっとずつずれて、はみ出してしまう高校1年生の主人公千佐、その兄、クラスメイトの周子。そのはみ出し方も三人三様でばらばらなんだけど、この三人が線で繋がってしまった時に事件が起きる。
 こういう時期が思春期だっていってしまえないくらい、大人もどきっとしてしまう小説なのではないかと思いました。
生きにくい時期の物語 ★★★☆☆
動作がスローで高校で浮いている及川周子。彼女と「元ワルのライダー」である兄との関わりに巻き込まれていく主人公・千佐。

千佐は観察者だ。クラスメイトを観察し、少し複雑な家庭を観察し、折り合いをつけるべくコントロールして生きている。そんな自分をハンパ者と呼ぶ。泳いでいる時だけ、「身体をゼロにする。頭をパーにすることができる」。「毒素が抜ける」のだそうだ。

周子は違う。あくまでスローなペースを貫く。千佐は周子に関わるうち、彼女のスローな動作にはある理由があることを知らされる。まるで鈍感な変わり者のようでいて、透明な繊細さと激しさを隠しもっていた周子。彼女を知るにつれ、千佐は戸惑う。ただの鈍い女の子だったらいいのにと思う・・・

この物語は、他人の内面に踏み込む違和、表面的でない人間関係を結ぶ怖さといった、思春期に多くの人が経験するテーマを含んでいると思う。やがて周子は転校し、千佐の前から消える。けれど確実に千佐の心の中にいる。兄と周子の短いつきあい、周囲への抵抗、そのみじめにもがく姿を「綺麗な絵」として思い出す。二度と会えないかもしれないけれど、確かな痕跡を残す人。誰にでもそういう人が一人はいるのかも知れない。