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夏から夏へ (集英社文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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世界陸上行けばよかったなあ ★★★★☆
小説『一瞬の風になれ』がとても良かったので、本書も文庫本になったら読もうと思っていました。
こちらはドキュメンタリーなんですが、小説が高校陸上の話だったので、ちょうど続編のような感じで読めました。良い意味で小説っぽくて、とても読みやすかった。

日本の陸上短距離って、世界の黒人選手とかにはとてもかないそうにないし、競技自体は本当に一瞬で終わってしまうし、今まであまり興味をもっていませんでした。
この本を読んで、表にでる競技までの過程にすばらしいドラマがあることがわかりました。大阪の世界陸上、観に行っておけばよかったなあ。これからは、応援したいと思います。

専門家ではないけれども陸上を愛している作者の視点がよい。男の友情みたいなところを、女性の目から素直にあこがれているところもよかった。
北京五輪の前まででドキュメンタリーは終わっていて、銅メダルというすばらしい結果についてはテレビで知っているけど、佐藤多佳子さんの描写でもぜひ読みたいですね。
未知の世界 ★★★☆☆
日本男子100×4リレーチームについて
丁寧な取材を経て書かれたノン・フィックション。

佐藤多佳子さんの書かれた「一瞬の風になれ」
で走ることの美しさやリレーの重さを実感していただけに、彼女が日本のトップアスリートについてどのように記述するのかに強く興味を抱いた。

大阪の世界陸上

リレーチームのそれぞれについてのこの一年
について
描かれている。

トップアスリートは
練習法について
試行錯誤をかさねている
ことが良くわかった。
未知の領域に臨む人にとって
正しい練習法などないのだと。

構成としては、オリンピック前で
話が終わってしまうので
クライマックスがないという意味で少し物足りなかった。
一方で、オリンピック本番前にこの本を読めてよかったという気持ちもある。

最後に、著者自身取材を躊躇したという
リレーチームで補欠の役割を全うした
小島選手のエピソードが非常に心に響いた。
一人残ったサブトラックで彼が何を思ったのか。
これもまた、高いレベルで未知の世界だと感じた。
作者のミーハーさが嫌でなければ読んでみては? ★★★☆☆
黒人選手の独壇場である短距離で果敢に戦いを挑む。4継(4*100mリレー)
の北京オリンピック銅メダルはもっともっと称賛されるべき記録と思う。

元々そう思っていたが、本書を読んでなおさらその意を強くしました。
日本国内では十分「天才」で通用する選手が、命を削るようにして努力
している姿は、普段なかなか知りようがないため非常に面白かった。

ただ、好き嫌いの問題と思うのですが、筆者が余りにもミーハーになり
過ぎている事、インタビューも発言を引き出すと言うよりは、単に話を
しているだけと言う印象は否めず、スポーツノンフィクションとしては
正直どうか?と思います。

ただ所謂スポーツノンフィクションが嫌いな人にはかえって新鮮で良いかも?
個人的には陸上好きのおばさんのブログを読んでいるようで、本の完成度と
しては決して高く無いと感じました。

取り上げる対象は素晴らしいんですけどね。
想いが伝わってくる ★★★★☆
日本は大阪では5位だった。
そして北京でメダルを取った。
その間の物語。

各メンバーの生い立ちや、想いをインタビューをもとに描き出している。

私は世界陸上をテレビで夢中になって見た。
北京オリンピックも夢中になって観た。
その後の朝原引退のドキュメンタリーもひたすら夢中になって観た。
朝原の「肉体マネジメント」も読んでみた。

だから知っていることも多かったけど、知らないこともたくさんあった。
特に、各メンバーの生い立ちはかなり詳細で面白かった。

陸上はタイムだけじゃない。
速くはなっていないが、巧くなっている。
このあたりの感覚は、すべてのスポーツに通じるものがあるのではないか。

P130の「引退に、美しいなんて、ないんだよ」という言葉は印象に残りました。

作者の、選手の、その関係者の、想いが伝わってくるいい本だと思います。
オリンピック前に読みたかった! ★★★★☆
北京オリンピック前に発売された本なので、オリンピック後の今になって読むと、本当に「オリンピック前に読んでいれば!」と悔しい気持ちでいっぱいです!
すっかりオリンピックも終わってしまった今では、あの走っているシーンをテレビでもあまり観られなくなってしまったので、もう一度、観戦して応援したい気持ちでいっぱいになります。
北京の前はまったく陸上に興味がなかったのですが・・・。

大阪世界陸上の第一章と、その後の北京オリンピックへの歩き始めの第二章。
世界陸上の章がとても華やかでドキュメンタリー風にまとまっているのに対して、「その後」の章はインタビューや取材の様子を書いた感じで、割と地味です(^^;
第二章の取材結果を織り込んで第一章だけを膨らませた方が、たぶん読み物としては面白かっただろうと思いますが、
きっと取材したときの練習風景やインタビューが印象深くて、佐藤さんがその空気を残したかったんだろうなぁ。
ノンフィクションは初めてだそうなので、慣れたノンフィクション作家の方のものよりは、まとまっていない感じは否めませんでした。
でもその素人っぽい(失礼v)部分に、
佐藤さんの純粋な5人(リレー4人+リザーブ小島さん)への敬意と、
それぞれのスプリンターの思いが伝わってきて、
彼らの走る姿を観たくてたまらなくなりました。