正直長すぎる
★★★☆☆
この作品は3巻本だが、一つの作品としてまとめて感想を述べる。まずこれだけの大作の割りに脇役の処理があいまいで、怪我した主人公の兄のその後の扱いが雑すぎるし、谷口との恋の行方はもっとドキドキさせてもよかったはず。部活の徒競走という大きなテーマがあるのはわかるが、その結末は途中から大筋で見えてくるわけで、あまりに引き伸ばして何度も繰り返される主人公のレースの口実況も食傷気味だ。そういう意味では全てを主人公に語らせる手法を用いるには作品が長すぎた。
結局主人公に感情移入できるかどうかで、作品の評価は大きく変わってくるだろう。主人公に感情移入できないのは、兄の交通事故での落ち込み方があまりに異様で引いてしまったし(死んだわけでも半身不随になったわけでも一生松葉杖のお世話になるわけじゃない、半年後には兄はちゃんとボールを蹴っている)、母親が学校にいくな休めと自転車の鍵を隠す場面があるが、主人公はさほど怒らない。この年代で自分の自転車の鍵を探し出されて隠されたら相当怒ると思うんだが母親に当たるでもない。身内の兄を「天才」と言い切ってしまうこのファミリーの感覚にもついていけない。部内の友情や指導者の先生との関係は微笑ましいが、高校生活を送っているはずなのに全くといっていいほど勉強の話題が出ないのもどうなんだろう、高校時代に勉強で悩まなければ天国みたいなもんだが。
部内の人間関係に紙数の多くを割く形になったが、その割りに登場人物の輪郭が曖昧。これも全てを主人公に語らせる手法の限界を感じる。
一気に読めます!
★★★★★
作者の代表作です。第2部から読むスピードが倍加します。ホント走ってみたくなりますよ!
部活すればよかった!
★★★★★
主人公はまじめでもなく、不良でもなく彼女がいるわけでもなく
サッカーが大好きな中学生だったが、高校ではサッカーではなく親友と陸上をやることになる。
その陸上部で先生、先輩、後輩、仲間と共に陸上を通し心身ともに成長して行く。
ありきたりなスポ根のようだけれども、登場人物がどの人もすばらしく魅力的で引き込まれていく。
また、ラストへの盛り上げ方も非常に洗練されていてうまい具合に感動するように書かれている。
一本、一本真剣に走る。それだけだ。
すばらしい体感小説で、一気に駆け抜けるように読んだ
★★★★★
高校生の主人公が陸上部で短距離走の才能を開花させていくという、単純なストーリーなのですが、これがおもしろい。
まるで自分がそれを体験しているかのようなリアリティーがあり、駆け抜けるように一気に読んでしまいました。実に爽快です。
やっぱり運動はいい!青春の貴重な時間を、悶々と悩んでなんかいないで、走れー!みたいな。
悶々系の小説は多いけど、こういう世界を言葉したものって、意外に少ないという気がする。自分が走っている人は、書かないから。
最終巻の特別座談会で、この小説が4年間にもわたる実在の高校陸上部の取材に基づいて作られたと知り、なるほどと思いました。
佐藤多佳子さんの陸上への思いが、地道な取材を通じてすばらしい青春小説に結実したのですね。
青春小説
★★★★★
陸上部を巡るお話。主人公は高校生の男の子。陸上を始めたばかりで、
フォームは自己流、でも、練習を重ねどんどん早くなっていく姿が生き
生きと書かれています。
カリスマ性を持ったライバルとのやりとり、家族や先生とのやりとりな
どにも引き込まれます。
お勧めの1冊です。