インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

行きつけの店 (新潮文庫)

価格: ¥810
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
関係ありませんが、ワタクシも国立市民でした。 ★★★★★
山口瞳先生のひと癖ふた癖もある薀蓄グルメ本。なんだかシブイ味のあるお店が満載です。ところで、山口先生って開高健と一緒でサントリーの宣伝マンやってて、手前の一人は芥川賞、そしてもうひとりは直木賞って・・出来すぎじゃないかなあ〜?それとも文芸春秋ってサントリーの宣伝してるからかなあ〜とか?余計な勘繰りしちゃいます。

でもあの昭和30年代40年代の時代って何だか懐かしいです。クールな小津安二郎監督みたいな大人がいました。つまり、明治生まれのおじいさん達がまだ健在。大正生まれの渋くてカッコいいオジ様達は、戦争から無事復員して来て佐分利信や笠智衆みたいに会社の重役さんとなり、復興日本の面目を意地でも取り戻そうと必死に牽引役を務めていた。そして昭和一桁の若いめのオジ様?年取ったお兄さん?達はその下役です。週末返上で夏休みもなく暑い中ハアハア言って?日本経済高度成長の為、家族の為、カラーテレビと洗濯機と冷蔵庫購入の為に汗水垂らして働いていました。

そういう働くオジサマ向け週刊誌にこういう開高健や山口瞳先生なんかが執筆していらした。働くエブリマン諸君、ボクは優雅にやってますよ!ですって。???他のサラリーマンは優雅にやってられないから、みんなの代わりに優雅にやってくださったんでしょうね。ここに出て来る高級な旅館やグルメっぽい店なんかにどうして会社の出張費で落とせると思うのか?ずるいぞ!ひとりで本屋さんの接待費でいい思いしちゃって・・なんて今や引退された戦後の働くオジサマならおっしゃった事でしょう。と思うのは私だけ?

何はともあれ、山口瞳先生は、名誉市民山口百恵さんと並ぶ我々東京都国立市民の誇りです。
文章の達人 ★★★★★
 山口瞳が愛した国立に小生が住みはじめたことで 山口の本も少しずつ読み始めた。本書も そんな中の一冊である。

 分野で言うと「グルメ」本ということになるのかもしれない。しかし 他のレビュアーの方が言われる通り そういう内容で読むような本ではない。第一 「味」についての記述は極めてあっさりしているはずだ。山口も その店の料理の味について 我々に説明しようとはこれっぽっちも思っていなかったはずである。それでも山口は「美味しい店」を語りたいと思っている事も事実だ。
 それでは 山口が語っている「味」とは何か

 その店の味とは食べ物だけではなく 店に働いている人 佇まい、歴史など 全てが融合した点にあるというのが 彼の主張だと思う。従い 山口の闊達で洒脱な語り口は 限りなく「人の話」や「雰囲気」に収斂していく。山口自身を通して 各店を紙上訪問している我々だ。山口自身の考えが 一種の味付けであり その上で各店を賞玩する事になる。その香気溢れる様には陶然とするばかりである。

 この本を読んでいると 山口がいかに文章の達人であるかを痛感する。一見そう見えないのは 扱っている題材が楽しいからだ。一皮剥けば、いや 剥かなくても 文章自体が放っている「香気」が香る。誠に職人芸ではないか。
名店の「雰囲気」を味わおう ★★★★★
すでに他のレビューでも述べられていることではあるが、本書は
一般的な意味での「グルメ本」ではない。通常、グルメ本といえば
檀一雄や開高健の様に華麗なレトリックを駆使して酒や美食の味を
描写したり、玉村豊男のように食文化それ自体を文明批評的な観点から
考察したりしているが、本書にはそのどちらも当てはまらない。ただ
ひたすら山口「個人」との関わりから各名店について述べているだけで
ある。それでは何の参考にもならないのでは?と思われる方もいるかも
しれないが、多くの批評家が指摘するように日本文化は文芸から日常
生活に至るまで「場」をひたすら重視するものなのであり(例えば、
万葉から新古今までの王朝和歌は「自立した芸術」ではなく、あく
までも「社交のための文芸」であった)、その意味では本書における
山口のスタンスも日本の文化的伝統に極めて忠実なものであると
さえいうことができるだろう。そして山口の飄々とした筆は、各店
それぞれの「場」の雰囲気をこれ以上考えられないほど忠実に
再現して我々読者に伝えてくれるのである。
グルメガイドではありません ★★★★☆
章ごとのタイトルは「鉢巻岡田の鮟鱇鍋」のようにどこの何がおいしいのかがわかるようなタイトルがついています。しかし、実際に読んでみると味よりも、そのお店の雰囲気の良さや働いている人の人柄の良さに惚れて山口さんの「行きつけの店」というものは決まってくるようなのです。

どこのお店とも、(お店と客)としてではなく(人と人)の関係を築いている。自分もそんな付き合いをできるお店をたくさん作りたい!と思えるあったかい本でした。

行きつけの店を通して人間を描いた味わい深いエッセイです ★★★★★
食通でも知られた著者の、北海道から九州まで全国津々浦々の行きつけの店23件を紹介したエッセイです。ただ、著者のエッセイだけに、単なる名店の料理ガイドになってはいません。それどころか逆に、料理についてほとんど触れられていないお店もあります。なぜなら、著者にとって行きつけの店とは、「私にとって大事なのは、店の雰囲気や従業員の方である」からです。従って、その店の料理だけでなく、お内儀や板長、従業員たちの人となりを逸話を交えながら描いたヒューマンエッセイともいうべきものになっています。また、お店の雰囲気や従業員を捉えた写真が各店ごとに2枚ずつあるのも、お店を知る上で嬉しい限りです。

でも、どうしても味が気になる方には、著者の次の言葉を贈ります。「ここで、諸君に質問する。こういう店が不味いと思うかどうか。・・・そうだ。それでいい。きみの答えは正解だ。」