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居酒屋兆治 (新潮文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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会話の冴え ★★★★★
 山口瞳が愛した国立に住み始めて 4年が経った。その縁で 最近 ゆっくりと山口の本も読み始めたところである。

 居酒屋兆治は 高倉健の映画で名高いわけだが 原作と映画はかなり味わいが違う。原作には 映画にはない 飄逸さがある。それが抜群の味わいを齎す。

 会話が良い。山口は会話を書かせたら 右に出るものはいないかもしれない。淡々として それでいて 機微に溢れる。話の中でふと見られる沈黙も上手だ。

 山口は既に死去した。国立を歩く彼の姿を見ることは出来なかった。山口は国立を散歩することが大好きだったという。小生も真似て散歩する。ぼんやりしながら。
「日常」の陰の「非日常」「宿命」 ★★★★★
この物語の主人公である(かつ居酒屋の名前でもある)「兆冶」は
山口瞳が愛用していた店「文蔵」をモデルとしており、そのためか
他の作品では主人公の描写で多々見られるアイロニー(江分利満の描写
をみればよく分かる)はややなりをひそめ、それとうってかわって
山口のもう一つの身上である「悲哀」と「愛情」が一見すればそっけ
ない文の行間からそこかしこに見え隠れしている。物語の縦糸となる
のは兆冶と幼馴染の「ファム・ファタル(不幸の女)」である「さよ」との
恋物語だが、それは決して前面にでしゃばることなく、あくまでも
「横糸」としての国立の人間模様に変化をあたえる役割だけを
果てしており、通俗的なストーリーに陥っていないので好感がもてるだろう。