境界例理解のための切り口として主にロールシャッハテストを使用し、その防衛機制や現実検討力、病理を整理している研究書である。精神分析的対象関係論の観点からの理論的考察とロールシャッハテストなどの臨床データから境界例の下位分類も試みられている。中・上級者向けにかかれている本書を読むにあたってはさまざまな専門用語や概念をきっちりと押さえておかないとどういう議論がなされているのか分からなくなることがあるかもしれない。またロールシャッハでは片口法のスコアリングを前提にされているので、その方面の予備知識も必要になってくる。