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白鯨 下 (岩波文庫 赤 308-3)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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破格の喜劇にして悲劇─その終幕 ★★★★★
八木先生の大暴れは相変わらず。なんたって「追風に帆かけてシュラシュシュシュ」(P.264)だもん。
さてこの下巻の、それも最終章近くになってようやくピークオッド号は怨敵モービィ・ディックと出会う。
三日間の長きにわたる両者の格闘は緊迫感に満ち、思いもよらぬ伏線を効かせた幕引きへ読者を導く。

個人的に下巻で特に強く印象に残ったのは、理性的なスターバックと復讐に狂ったエイハブの
幾度かの対決であり、エイハブとピップの間に通う親子のような愛情だった。
地上の原理に忠実であろうとする者=人間と、地上の原理から追放された者=狂人とが
交錯して織り成されるドラマ。これほど濃密なドラマでさえも『白鯨』の一側面でしかないのだ。

一捕鯨船の航海を通じて描かれた森羅万象。人間と宇宙への深い考察。
この作品はどれほど言葉を尽くしても語り尽くせない。好き好んでカスタマーレヴューを書いておいて
無責任な言いぐさではあるが、「とにかく読んでくれ」結局のところこうとしか言いようが無い。
少なくとも、私の貧困な筆力では。
マイベストブック ★★★★★
白鯨は私が今まで読んだ中でもっとも気に入っている本だ。
特に下巻が最もいい。上巻と中巻はほとんど船乗りたちの光景と鯨について延々と書かれているだけなので退屈してしまう方もいるだろう。
しかし、下巻のラストシーンの緊張感は素晴らしいものがある。
自然と人間、壮大なテーマを扱ったこの本は今の時代にこそ読むべき一冊である。