初心者には向かない
★★☆☆☆
ケモメトリックスの書籍を手にされる読者は,PLSなどの手法を理解したい,実際に利用するときのテクニックを知りたい,そんな動機で手にするのだと思う.本書では,統計の基礎から,重回帰分析,主成分分析,PLS,その他まで網羅されてはいるが,初学者が本書を読んで理解できるとは思えないし,記述にまずい点も多々ある.例えば,PLSは主成分分析を出力側と入力側に適用するものだという説明は初学者を混乱させるだけだろう.特異値と固有値の説明が混在している,主成分と潜在変数も区別せずに使われている,記号が統一されていないなど,色々と気になった点がある.日本語のテキストが少ないのは確かだが,あえて本書を選ぶ必要はないだろう.中途半端だとの印象が強い.
Eureka!
★★★★★
ケモメトリックスを真に勉強したい人には、まず本書を読んで全体像をつかみ、それから後の邦書を読むことをお勧めします(2冊しかないが)。準備運動が終わったところで、洋書では多数出版されているケモメトリックス関係の本と格闘してほしい。そして、玉石混合の記述の海をもがきながら疲労困ばいし、ストレスが頂点に達した段階で、またこの本に返ってほしい。これまでの疑問が氷解していく爽快感が味わえるでしょう。著者の理解のレベルが高すぎて、難しいことがサラリと書かれてあるので、逆に初心者にはその「ありがたみ」が判りにくいのかもしれまん。
ケモメトリックスも結局は統計計算です。すでに完成された明快な計算技術ですが、はじめは理解できない概念が多く時間もかかるでしょう。実際のデータを使って解析し、ケーススタディーを多く積んでいくことが理解の早道だと思います。
ヒット!
★★★★★
会社で分析関連の仕事に携わる者です。「これこそ探していた本!」って感じです。スペクトル分離の章は、まだ理解できない部分もたくさんありますが、「何ができるのか」はどうにか把握したつもりです。この6章は他の分野の人には意味不明で無視される内容かもしれませんが、分析業務に携わる研究者にとって、この概念を理解しているか否かは天動説と地動説の差くらいあるのではないでしょうか。ただ残念なのは、私の手元に実際に解析するツールがないこと。それでも目から鱗の内容でした。感謝します。
参考になります
★★★★★
企業の人が書いた、ありそうでナカナカない本です。自分の経験に類似した適用事例もあれば、目新しくとても参考になる事例もありました(感謝!)。統計数学の苦手な方にも、読みやすいと思います。
実践的
★★★★★
データ構造の説明など、線形代数を用いて1次元から多次元へスムーズにわからせるような工夫が見られる。多数盛り込まれている事例は説明不足のところは否めないが、社内の解析依頼に対応したものならば、記述内容に関して煩わしい程のチェック・削除が入ったであろうことは同じ企業人として推察される。6章の混合スペクトル分離に関しては、日本語による解説は初の試みであろうが、初心者でもわかるようにもう一工夫ほしかった。
総合的には、企業の研究者が実践で使う、主成分分析・回帰分析・実験計画法・因子分析(混合スペクトル分離?)がバランスよく盛り込まれており、このような書物はこれまでになかったので5点。