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ソフトウエア企業の競争戦略

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: ダイヤモンド社
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【書評】ソフトウェア企業の競争戦略 ★★★★★
ソフトウェア企業の競争戦略(原題:The Business of Software)は、MIT(マサチューセッツ工科大学)スローン経営大学院教授のマイケル A.クスマノによる著書である。

著者はもともと70年代後半から、特に自動車の設計と製造に関する、日本の製造管理と品質管理の技術を研究していた。日本の製造業が急成長し、日米の貿易摩擦が顕在化し始めた時期である。

そんな中、著者は自動車の次に日本が挑戦するのはコンピュータ・ソフトウェアだろうと考え、日本企業が大規模な商業用ソフトウェア・システムをどのように構築しているか、すでに日本人が確立しているハードウェアのスキルに高度化されたソフトウェア・スキルをいかに追加しようとしているか、を研究し始めた。

研究を進めるうち、著者は、ソフトウェアが戦略と管理の面で特別な問題をはらむ独特のビジネスであると認識するに至る。85年のことだという。

本書は、著者の20年近くにわたるソフトウェア業界の研究、数十ものソフトウェア企業や組織へのコンサルタントとしてのかかわり合い、さらには1997年から続けられているMITでの「ソフトウェア・ビジネス」クラスでの教育経験から得られた観察をまとめたものである。

第1章には本書の概要を記してある。ソフトウェア・ビジネスが他のビジネスと異なっている点、技術としてのソフトウェア、日本企業からマイクロソフトに至る研究、欧米企業と日本企業の重要な違いについてまとめ、また、ソフトウェア・ビジネスの典型的な事例として、仏ビジネスオブジェクツと米i2テクノロジーズの2社を紹介している。

第2章では、ソフトウェア企業のとるべき戦略について述べている。製品企業なのかサービス企業なのか、ターゲットは個人か法人か、マスかニッチか、水平的か垂直的か、メインストリームを狙うのかキャズムを回避するのか、マーケットリーダーかフォロワーか補完製品メーカーか、会社にどのような特徴を持たせたいのか、といった問いが投げかけられている。

第3章は、ソフトウェアビジネスの歴史である。過去を研究する事で進むべき方向についての示唆を得られるとしている。1950年代にはハードウェアを販売する事が主目的でソフトウェアは付属品であった。独立したソフトウェア製品のビジネスが登場するのは60年代である。70年代に新しいプラットフォーム「PC」が出現する。「ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)」という次のプラットフォームが90年代に現れる。この歴史を踏まえて、第4章以下で、次のビジネスチャンスがどこにあるのかを問うていく。

第4章では、ソフトウェア開発のベスト・プラクティスと銘打って、ソフトウェア開発を最適管理するにはどのようにしたら良いか考察している。ソフト開発で繰り返し発生している問題と、多くのソフトウェア・ファクトリーを通して試みられている技術の構造化、およびソフトウェア工学分野での取り組みについて紹介しつつ、それが誤った考え方を導くことになったと指摘し、重要になってくるのは繰り返しのプロセスを生み出そうというSEIの概念や、頻繁な同期と周期的な安定化だと結論づけている。

第5章は、ソフトウェア起業家精神についてである。製品開発の視点にとどまらず、とりわけ戦略とビジネスモデルにまで視点を広げ、ソフトウェアのスタートアップ企業を成功裏に設立するために本書の内容がどう当てはまるかを考察している。

第6章は、スタートアップ10社のケーススタディである。筆者が取締役、顧問、コンサルタントとして知るところとなったスタートアップ企業10社について、成功企業、失敗企業、現段階ではまだ何ともいえない企業の3つに分類して述べている。

最後に第7章で、ソフトウェアのスタートアップ企業にとって「理想的」もしくは「ベストの」モデルは何かを一般化することは考慮すべき変数があまりにも多く難しいとしつつも、少なくとも法人向けソフトウェア企業の場合、ビジネスモデルの判断基準は製品企業、サービス企業、ハイブリッド企業のどれを目指すのかという1つに帰結できると結んでいる。

ソフトウェア開発に関する本は、開発手法やプロジェクト管理についてのものはそれこそ掃いて捨てるほどあるのだが、ビジネスという視点から論じているものは驚くほど少ない(大きめの本屋でコンピュータ関連の棚を見てみればわかるだろう)。ソフトウェア企業の競争戦略は、ソフトウェアをビジネスの面から論じた数少ない本であり、かつ、内容としても非常に優れた良書である。
戦略なき組織に明るい未来はない ★★★☆☆
ソフトウェアをビジネスとする企業が取るべき戦略について米国の事例研究を元に語っている。
開発プロセスのベスト・プラクティスについてもマイクロソフト、IBMやSEIを例に取り上げていて、
非常に参考にできる。

ページ数が多く、読み応えがあることがいい点でもあり、一気に読めないため難点でもある。
(そのため評価を下げました。再度読むと評価はひとつ上がるかもしれません。)

自社の置かれている立場により、参考にできる度合いが異なると思うが、多くの日本の
ソフトウェア企業に欠けている戦略面の視点が得られるのでは。

ソフトウエア開発の上で開発になることも多々です ★★★★★
大きく3つでしょうか。

1つは、製品開発型の企業、サービスを提供する企業、その両方を提供する企業にわけて、その戦略(市場、企業の方向はどうあるべきか、競争戦略、資源の蓄積など)等を歴史を振り返りながら、分析しています。また、各タイプの企業が、今後どうあるべきか、の意見が述べられています。

2つめは、本職のソフトウエア開発を成功させるには、どのような組織で開発手法を取ればよいのか、をマイクロソフトやネットスケープ、IBM、日本企業の例等を引き、分析してあります。

3つめは、ソフトウエアのベンチャー企業が成功するためには?というものです。筆者がかかわった企業の事例が10個ほど詳細に解説され、その中で、筆者達の考えた成功のためのチェックリストがどれだけ有効化を検証し、また、成功要因を探ります。

その他、海外へのアウトソーシングの話題等もあります。日本企業の開発手法や、これまでの戦略について、触れられているところが多かったです。

個人的には、マイクロソフト等のソフトウエア開発の様子が、リアルに描かれていて、参考になりました。

経営等の前提知識は、あった方が良いですが、なくても楽しく読めます。SEさんにも、参考になるところが多々あるのでは、ないでしょうか。

事例を中心にソフトウェア企業特有の戦略を解説 ★★★★☆
約450ページにわたって、ソフトウエア企業の戦略から方法論、そして精神論に至るまで、事例を中心に事細かに解説されています。著者自身がMITの教授であると同時に、コンサルタントや取締役として活躍されていることもあり、1つ1つの事例(ケーススタディ)が非常に示唆に富んでおり、説得力があるものになっています。
ソフトウエア企業の経営者だけでなく、ソフトウエア企業に何らかの形で携わっている方全てにお勧めできます。
ただ読みやすさという観点から言いますと、難しいと言うほどではありませんが、入門書のように気軽に読めるものでもありません。ある程度腰を落ち着けて読む必要があると思います。最も、それだけ内容が濃いとも言えます。
あと日本語訳に関して多少誤植があったことが残念です。
ソフトウエアビジネスの参考書 ★★★★☆
パッケージビジネスを生業とする会社にいますが、ちょうど事業計画を立てている時にタイミングよく出版されました。まずは、翻訳された有志の方々に感謝いたします。大変厚い本ですが、第二章と第四章だけでも参考になります。今一度、自社のビジネススタイルと比較すると有意義かと思います。欲を言うと日本での成功企業(サイボウズなど)についての分析もあれば申し分なかったのですが。まあ、グローバルに進出するレベルではないので致し方ないかもしれません。あと残念ながら誤植がいくつかあります。特に冒頭日本の企業を分析した表の中で会社名を間違えていたりしてちょっと残念でした。