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若者はみな悲しい (光文社古典新訳文庫)

価格: ¥972
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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印象に残る短編がいくつか ★★☆☆☆
アメリカ出身の作家,F・スコット・フィッツジェラルドの短編集。
ジュンパ・ラヒリ著『停電の夜に』を訳した小川高義による翻訳。

作品には20世紀前半のアメリカ社会の風潮や、中流から上流階級における風習が反映されている。
全体の半分ほどはそこそこ取っ付きやすく、印象に残る物語がいくつかあった(もう半分ほどは、いささか取っ付きにくかった)。

フィッツジェラルドの作品をこよなく愛する小説家,村上春樹の翻訳による『グレート・ギャツビー』等も読んだが、どちらかと言えば、この短編集の方が入門編としては適しているのではないかと思った。

対象年齢は主に二十代以上。
新訳 ★★★★★
フィッツジェラルドの、哀切な美しさを表す作品は、「冬の夢」「金持ちの
青年」「氷の宮殿」、長編では「夜はやさし」だと思います。多くの翻訳が
出ていますが、新しい訳が出る都度、どうしても読み比べをしてしまいます。
この本も素晴らしいと思いました。
甘く、切ない ★★★★★
9編からなる短編集。
1遍(赦免)を除いて、上流階級に属する二十代の青年が主人公です。
彼らが、大人と子供の境目、理想と現実の間で戸惑う姿が描かれています。

大学〜就職〜結婚〜子供の誕生、と多くの若者が通ることになる現実の人生。
それにどう対峙していくかは、人によって様々でしょうが、そうして社会に押し出され、年齢を重ねることによって、それに抗おうとも、順応しようとも、結局は失われてしまうものがある。
収められた話の多くに、その喪失感が、なんとなく甘酸っぱいスパイスのように効いています。
決して不幸を語っているわけではないのに、読み終わってなんとも切ない気持ちになりました。

現実を知り、現実をそれなりに受け入れつつも、理想を捨てきれない青年を描いた「お坊ちゃん」が個人的には一番好きです。
原題The Rich Boyを「お坊ちゃん」と訳したセンスを含め、すっきりと読みやすい訳文です。
どこかでグレート・ギャッツビーとつながる世界が…… ★★★★★
程度の差こそあるにせよ、どの短編もみな、ほろ苦い。
哀切……とでも言おうか。
その意味では「グレート・ギャッツビー」と同質の世界かもしれないが、
どこかが微妙に違っている。

主人公は、現在青春を生きている若者であり、かつての青春の尻尾を
引きずっている大人でもある。
9篇のうち、微妙な若い夫婦の機微のようなものと青春の残滓を描いた
「調停人」が、私はいちばん好きだった。

1920年代アメリカの青春群像を描いたものなのだが、
どこか別の国のことのような気はしない。
日本にもこのように、
自らの青春時代を「苦さ」をもって振り返る小説がいくつかある。
ただ、違うのはフィッツジェラルド独特の皮肉や
クールな警句のようなものがさりげなく挿入されている点か……。

翻訳はわかりやすく読みやすい。
私はフィッツジェラルドの短編を読んだのは初めてなのだが、
「夜はやさし」「グレート・ギャッツビー」などの長編と遜色ない
いやそれ以上の魅力がある。

少し違ったフィッツジェラルドの世界を堪能できる1冊である。
女性の心を捕まえ切れない若者 ★★★★★
「解説」によると出版社との契約では、長編と短編がペアーでということだったようで、この短編集も「グレート・ギャッツビー」の後に出されたものです。
従って、この短編集は「グレート・ギャッツビー」の匂いがそこかしこにします。(今公開中の映画「ベンジャミン・バトン−数奇な人生−」にも通じるものがあります。)

と言うのも、若者たちの男女の関係の機微を扱っている作品が多く含まれているからです。
「お坊ちゃん」「冬の夢」「『常識』」がそれにあたり、それぞれ男性が女性の心を捕まえ切れず振り回され、結局は一緒になれない話です。

その延長線上のような形で、夫婦の間の感情を描いた作品が、「子どもパーティ」「調停人」「温血と冷血」「グレッチェンのひと眠り」があります。こちらは、教訓的な話が多く、最後には上手く纏まります。
最後の一編は「ラッグズ・マーティン=ジョーンズとイギ○スの皇○子」です。

どれもなかなか読ませてくれる短編なのですが、個人的には「温血と冷血」の終わり方が好きです。
それとやはり「お坊ちゃん」「冬の夢」「『常識』」の三作品です。