安保闘争とは何だったのかを振り返る本です。安保闘争の本質的な意味を鋭く探っています。安保闘争とは、安保自体よりも岸首相の戦前の官僚政治につながる手法への反対、戦前の市民が戦場へかり出さされていくような政治体制への反対では、なかったかと著者は言っているように感じました。天家国家の政治を考えるならば、民意といったものは、小さいものであるという、エリート政治家の意識への反対・嫌悪感であったと言っているようでした。そういう意味では、戦前の指導体制への復古に対する、市民の民主主義的意識の発露であったのかもしれないと感じました。また、暴力が暴力を生んでいく過程も見ることができました。市民社会を考える上で、重要な本だと思いました。一度読むことをお薦めします。歴史的な写真も載せられていて、当時の空気も伝えています。私は1日半ぐらいで読み通しました。