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憲法Cases and Materials憲法訴訟

価格: ¥5,565
カテゴリ: 単行本
ブランド: 有斐閣
Amazon.co.jpで確認
意味不明の設問群 ★★☆☆☆
文句だけのレビューはほんとは書きたくない。

だがこのケースブック「も」失敗している。

憲法判例を生で読むのは各法科大学院でそれぞれやっていると思うので、このようなケースブックの編集の意義は
ア)判例の選択をどうするかということ
イ)個別判例の理解をどうするかということ、
ウ)そして、最終的には日本の憲法の全体をどうとらえるか
ということになると思う。
が、アイウの全部に応えていない。

 ★ 例を挙げて具体的に書けとアマゾンで指示されているので、山ほどあるきわめて不十分な記述のなかからひとつだけ

    表現の自由・プライバシー・宗教団体の内部紛争などで実務家のあたまにまず浮かぶのは「仮処分」です。
    ところが憲法上の請求をしたいばあいに、民事保全法の要件をどう使うかという最重要事項についてまったく解釈論がない。
    こういうのっていったい何なんだろうかと考えこませる。それほどの日本の憲法のテキストですよ。これは。

いまは憲法判例の全文が、最高裁のサイト(無料)とTKCなどの有料データベース(すべての法科大学院で使える)でダウンロードできます。
だから、そのまま活字化してダサい設問しかついていないので、くそっ!紙代輸送費などの原価を支払わされてるんかみたいな後味の悪さが残る。この程度の要約だったら法科大学院の院生だったらだれだってやっているよ。

設問もひどい。設問こそがその判例を分析する鋭い視角を示す見せ所。
ところが「〜の背景にある●●●について調べてみよう」とか、なんやあという感じである。ケースブックのひとつの重要な価値は文献を渉猟してそのエッセンスを書きこんだ設問とヒントにあるが、「おいおいどこまで手抜きなんだよ」と思う。というか著者らが「手抜き」と感じていないとすれば、そのようなイージイな講義を続けてきたということなんだろうと思われる。

さらに苦言を書く。最大の欠点がある。それは判決が書かれたときの「事実」と「理論的な展開」との接着具合がはっきりと摘出されていないこと。違う角度からいうと、このケースブックの著者たちは、抽象的な言辞にのみ過度に集中して分析を行っていて、具体的な事実認定への
関心をほとんど持っていないこと。事実について書いてあることは類書にすべて書いてあることばかりで、独自に掘り起こしたものは皆無。

主観に基づく総合評価(★5つが満点)

入門度:★★☆☆☆(並みの脳で自習できるか)
実務度:☆☆☆☆☆(実務の参考になるか)
体系度:★☆☆☆☆(体系的な知識を与えるか)
網羅度:★☆☆☆☆(題材選定に偏りはないか)
視覚度:★★★☆☆(わかりやすい図などあるか)  ・・・・ソフトが駆使されていて編集にそれなりのカネが投入されている
判例度:★☆☆☆☆(判例に十分配慮してあるか)  ・・・・ケースブックなんだからもっと徹底的に地裁レベルから調べてくれよな


追記:

だれでもわかるのは、最高裁調査官の書いたものがほとんど無視されていること。
調査官解説は刑事と民事が中心だが、憲法判断の背後にある基礎的な最高裁の発想などについてちゃんと書いている。その判例の解説だけじゃなくて関連部分の細かい法解釈についても、ちゃんと読んでおけよな

なお訴訟代理人が受任した事件を憲法訴訟として遂行しようと決心したばあい判例の分析と資料調査にはとても長くて苦しい準備が必要です。
資金的な問題があるので本業を終えたあと事務所で徹夜などしながら準備しなければなりません(裕福なブル弁の余暇は別論)。
トライブやラビンは憲法訴訟を実際にやってるし、アメリカのロースクールの教授たちは貧乏な刑事被告人のためにみずから憲法訴訟を起こしたりする。ところが日本では法廷メモ事件のようなマイナーなものしかないのが現状。

有斐閣は、著者を全員選択し直して、あらたなケースブックを出稿するべき。
憲法訴訟の理解のために有益 ★★★★★
憲法訴訟の構造について目から鱗が落ちる一冊。
全19章からなり、各章は2〜3節で構成されています。1章は大体30頁弱のものが多く、全部で548頁です(索引除く)。
内容ですが、各節で1〜3個程度の判例を取り上げ、そのあとに質問が無数にちりばめられた本文が続いていきます。
質問は多い章で50個にのぼる場合もあり、回答が出せないような質問も多いです。答えはのっていませんが、質問の羅列のあとには論文の抜粋や関連判例が概ね続いており、それを読むと、質問の意味がじわじわと分かるような構成になっています。
(結局は憲法の基本知識をどの程度使いまわして説明する力があるかを試しているようです)。
そこで、本書の質問は、回答を出すためではなくて、重要なポイントを読み飛ばしてしまわないための安全弁の位置づけと心得るべきでしょう。
とはいえ、質問の意図がよくわからないまま進まざるをえない箇所があるのも事実ですので、 ある程度憲法の学習が進んだ方でないと、独学での利用は難しいかと思いました。
私はロースクールで著者のお一人に教えていただくことができたので、非常に学習効果がありました。
事件性の要件と訴えの利益(民訴)の関係はどうか、事件性の要件と処分性の要件(行訴)の関係はどうか、などと問われて、ピンと来ない中上級者の方は一読をお勧めします。 憲法訴訟の理解をもう一歩深めるにはかなり有益な一冊かと思います。
なお、基本的に佐藤先生の説の影響が強いようですが、芦部先生メインの方でも利用に支障はないかと思います。