訳者は本当に何かを伝えようという気があるのか
★★☆☆☆
以下あくまでも私見となります。
まだ読了前ですが、まず訳文が非常に気持ち悪い(この種の翻訳調が好きな人がいるのは知っているが、それはそれで)。
『アレクサンダー・テクニークの学び方―体の地図作り 』のレビューでも同旨の指摘がありました。これでは折角の素晴らしい(とされている)技術なのに、関心を強くすることの妨げとなるかもしれない。
内容は、自主学習の方法が中心主題ではないので、タイトルに偽りありという感が強い。結局のところ、精確な理解・実践にとっての現時点で可能な最善の方策は、良い先生の指導を受けることくらいで、他の方法は用意されていないようです。でも、それならば、予めそのことをハッキリと表示した上で、教師の所に行く前の段階で自分でできることに叙述を限定して内容的な掘下げを行った方がどれほど親切か。
既刊の多くのアレクサンダー本では具体的なことは分からないようです。同じような概説本ばかり出さずに、真の意味で技術の習得に役立つような、(全く教師無しで済ますことが困難だとしても)ある意味で教師に代わる役割を果たすように叙述の質・量を充実させ、高度の実用性を備えた書物を出せないものか。
完全独習にヨリ近い習得方法が用意されていないと、技術としては、イメージし難く学び始めるには些か敷居が高く感じられるので、普及させること自体の妨げにもなるのではないかと思う。著者自身も文中で、コミュニティがまだとても小さいことを指摘しているが、これは技術習得の場面が閉鎖的で可視性が低いことと無関係でないと考えます。
読むこと自体を止めはしないけど、一冊目は別の本でよいと思う、というか本書の位置付けが曖昧、中途半端。書物として著すために文書化する以前の試行段階といった趣か・・・。