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スナーク狩り

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新書館
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最高の訳文、最高の解説 ★★★★★
「アリス」で有名なルイス・キャロルが書いたノンセンス叙事詩(反叙事詩)の傑作。かねてより19世紀英国幻想文学の代表作と目された作品だが、このタイトルのまま翻訳書が刊行されたのは本邦初ではないか(キャロルの翻訳ではないエンデと宮部みゆきを除く)。まずは本書の刊行自体が事件である。内容的に目を惹くのは、ステンドグラスを得意としたラファエル前派ヘンリー・ホリデイ(バーン=ジョーンズの居候だったらしい)が描いた細密な挿画の美しさ。ハリー・クラークもそうだがステンドグラスを得意とする芸術家は挿絵画家としても一流なのだと納得。河合祥一郎の解説によれば詩もそうだが、この挿画自体が一種の謎なのである。そう、じつは本書の白眉はキャロルと言うより故高橋康也の訳文と、その娘婿である編訳者河合の構成ぶりとそつのない名解説なのだ。そもそもこの訳文自体澁澤達彦文学館のなかにひっそりと収載されていた筈で、16年ぶりに河合が掘り起こし、新たに訳註を追加したものらしい。発掘は大成功。これまで訳されたどの「スナーク」よりも瑞々しく、キャロル詩の文学的ラビリンスが実感できた。また妙な話だが、奔放な意訳の語り口に高橋と柳瀬尚紀との同質性も感じとれたのであった。そして河合はこの義父の遊び心をしっかり継承し、訳註も解説もとてもユーモラスに、高度な内容を噛み砕くように解き明かしてくれる。管見マーティン・ガードナーの注釈書のポイントを殆ど押さえているようなので、英文を無理して読む必要がなくなったことが個人的にもかなり嬉しい。この作品自体が幻想文学史上というか英文学史上欠かせない名作(でも全集とかには無縁)だし、とにかくお買い得な一冊だと思った。