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変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)

価格: ¥440
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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カフカを読むなら本書から ★★★★☆
初めてカフカの「変身」を読んだのはおそらく中学生の頃。
今でも憶えているのだが黄色いカバーの文庫本(たぶん新潮社?)だった。
結局、なんとも不可解きわまる内容で、とりあえず読了したものの、その後何度か手には取っても再読することがないまま、その文庫本はどこかにいってしまった。
典型的なカフカの読後リアクション?


時は流れて・・・。
最近の「新訳ブーム」に乗っかって手にした本書。
比較的すんなり読み通せたのは、「いま、息をしている言葉」(新古典文庫のキャッチコピー?)による新訳だからか?
それとも、30年の歳月を経た僕自身の変化か?
本書の解説によると、当時手にした「変身」と本書では底本が別である、とのこと。その違いか?

いずれにせよ「意味不明」の誉れ高い?カフカの代表的作品たちであり、確かに極めてカフカ的な作品たち、しかも好都合?にも短編ばかりが収められている本書。
このご時世にカフカを読むなら、本書から始めるのが良いかも。■
意義深い新訳 ★★★★★
クラシック音楽におけるピリオド楽器によるオケの演奏は、ほとんどの場合好まない。特にベートヴェンやバッハの多くについては。
訳者は翻訳(これはある意味演奏と同様の行為だ)における「ピリオド奏法」を謳い、実践している。高橋義孝訳、池内紀訳を併読したが、この丘沢訳が一番しっくり来た。といってもドイツ語を解するわけではなし、先行訳にも美点は大いにある。
『変身』は、怖ろしい物語だ。筋だけを辿っていても、この力強さは旧約聖書に匹敵する。こういう真の世界文学の新訳は大歓迎だ。『星の王子様』程度のお子様物語の新訳に躍起になるのはどうかと思うが、『カラマーゾフ』といい、本書といい、意義がある。
そういえば『カラマーゾフ』の訳者・亀山郁夫は『罪と罰』にも取り掛かっているらしい。
光文社古典新訳文庫には大いに期待したい。
小説を変身させるのは訳者と読者。 ★★★★★

簡単な言葉で訳すことで、カフカの天才が出てきた。
養老猛司の言うように、自分は自分のままと思い続けた主人公ザムザは不気味だ。
だが、それ以上に頭に引っかかったことがある。家族はなぜ馬鹿でかい虫をザムザだと思ったのだろう。
馬鹿でかい虫に目がいって、家族の視点で読んでしまいそうになるにこらえて、
ザムザの視点で読み進めていきました。人生は切ない喜劇でした。
楽しい不条理 ★★★★☆
判決、変身、アカデミーで報告する、掟の前で、の4編を収録。

カフカの作品といえば、面白くないという印象がある。
作品の内容は、わけの分からない状況に置かれた主人公が右往左往するのを淡々と描くだけなので、読んでいるこちらも訳が分からす、それが延々と続くので、ただ退屈なだけ。
評論家はとそれを不条理とかなんとか難しいことを言って高く評価しているけれど、やっぱりだた退屈なだけ。
あまり読みたくない作家だ。

しかし、そういうカフカ像を産むに至ったのは、どうやら原典の編集段階に問題があったらしく、また、日本訳にもいろいろ問題があったらしい。

史的批判版」に基づく本書は、カフカのそんなイメージを覆す。
なによりも読んでいて面白い。退屈で無味乾燥なカフカではなく、筒井康隆のある種の作品に近い感じ。いやもっと近いのは、やはり吾妻ひでおのマンガだな。

考えてみれば、不条理というのは、主人公がヘンな目に遭わされて困っているということだから、「笑い」とかなり近いところにいるはずだ。不条理作品を読んで笑いが出てくるのは、だから、そんなにおかしなことではない。というよりもむしろその方が自然なのではないか。

最後の「掟の前で」は、いかにもいろいろな解釈をしたくなるような結末だが、「なんだこれ?」、という感想だけでも十分ではないか。
カフカを楽しめる一冊である。
よりカフカに近い翻訳 ★★★★★
収録作品は『判決』『変身』『アカデミーで報告する』『掟の前で』です。
クラシック音楽でピリオド奏法が受け入れられていることを受け、
翻訳するに当たって丘沢氏は「相手の流儀をまず尊重」(168頁)するとしています。
そのため本書は史的批判版カフカ全集を底本としています。
この版は、現在のところ、カフカの書いたものが
最もそのまま提示されているとされます(164頁)。

全体として一文一文は短く区切って訳されていて、リズムカルです。
しかし、本書の魅力はこれまでの翻訳でカットされていた箇所
がしっかり掲載されている点です。
例えば、「訳者あとがき」(178頁)によると『判決』(23頁)の
今までカットされていた「答えが質問に衝突したのだ」
という一文が掲載されています。
このように、これまで削り取られていた箇所を掲載したことで
読者の側に時間的な余裕が生まれ、他方で登場人物の心情の変化が
今まで以上に分かるようになったと思います。