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戦争という仕事

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 信濃毎日新聞社
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普通の言葉で紡ぎ出すすごい思想 ★★★★★
仕事・労働の意味、生きがい、価値。私自身が直面する疑問、悩み。
その根源、歴史的背景を、実にわかりやすい言葉で解き明かしてくれたように思いました。
「何のために勉強するのか」「なぜ家族は父に敬意を払わないのか」「仕事する意味が金以外のどこにあるのか」「今の仕事に生きがいはあるのか」「このまま定年を迎えた時に、自分の人生に喜びや誇りは残るのか」私はいい年をして、こんなことにクヨクヨしています。映画やドラマ、本を読み、自分なりに考えますが、からりと晴れた心境になりませんでした。山田洋次や山田太一、古くは黒澤明や小津安二郎。娯楽として、人生を考える教科書として、何度も見、考え、答えが出ずに今に至ります。その「答えの出にくさ」の背景を、著者は近代思想や近代制度から言葉で説明してくれたように思います。家族が父の労働に敬意を払わないという以前に、自分自身、自分の労働に誇りを持っていないこと、社会に「他者の労働に敬意を払わない」風潮が出来てしまっている現実、それは、近代資本主義社会そのものが内包する根本問題につながっていること。よくわかりました。食い入るように読みました。感謝の気持ちで一杯です。良くぞ解き明かしてくれました。
労働とは何か、労働と自然のかかわりとは ★★★★★
戦争が仕事になっている現代、私たちは労働をどのように捉えておくべきか、考えさせられます。内山さんは特に自然とのかかわりの中での労働を自分が上野村に住んだ経験から考察しています。根本的な部分は養老先生の思想と全く同じではないかと感じました。脳化してしまう社会(労働)の脆弱性は体を使って感覚を自然の中で取り戻すことでしか再生しないのだと。
備忘録として少し書き留めてみました。
はっきり述べてしまえば、アメリカは先住民を抹殺という恥ずべき行為の上に成立した国である。だがその恥を認めることは、建国自体が不正であったことを認めることにつながる。たとえこの過程で少々の問題があったことは認めても、建国とその後の歴史は、文明の偉大な発展として肯定する他にないのである。そしてそれを肯定するかぎり、自分たちに同調しない異文化の社会はその記憶をふくめてその社会に自分たちの文明を提供しながら、その文明の支配圏を拡げ資本主義の利益と合致せるという方法も、アメリカ的自由を守る武器として肯定されつづけることになる。私は現代の戦争の出発点はここにあると考えている。p37
労働に対する動機と「信用を高める」ことが結びつかなくなったとき、日本の社会は、真面目に働くことの意味を見失ったのである。その結果、多くの人たちは真面目に真剣に働きたいのに、その情熱をむけることのできる仕事がみつからないという今日の状況が生まれた。p78
18世紀後半のフランスの経済学者ケネーは、農業だけは富を増加させていると主張した。それは農業には自然の生産力が加わっている。彼は社会の富の総量は自然の生産力によってもたらされた以上にはふえないと考えた。p82
きっかけは新聞の書評で ★★★★★
 何気なく読んでいた書評の中でこのタイトルが目に入り、ふうんと流していたけど数日してから読みたくなってしまった。古新聞を探し出しタイトルと著者をメモしてネットで購入。章が2ページくらいで分けられていてリズムがいいと感じた。
 消費社会、というかそういった現在否定的に使われている言葉が多く出てきます。僕は23歳で若造で世間知らずですが、よくこの社会が分からず、未来がどうなるのか、どう生きて行けばいいのか、日本は世界は地球はこれからどうなるのか、何をしていけばいいのか、何を改めなければならないのか。いろんなことが頭でぐちゃぐちゃに考えてしまいます。
 そんなことばかり考えてるとき、この本とこの著者に出会えて良かった。分からなかったルールが少しずつ分かってくる、そんな感覚と似ている。とにかく気持ちがいい。テーマは軽くない。言葉遣いがとても丁寧。僕にとっては後で振り返っても「出会えて良かった」と心から思うそんな本。