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曲った蝶番 (創元推理文庫 118)

価格: ¥588
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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油断大敵 ★★★★★
面白さは間違いなく「終盤にあり。」
な本作品であります。

序盤のほうでも
本物と偽者との
争いあいがあったりと
読者を飽きさせはしないんですけどね。

この終盤は
思わぬところに事実が
いくつもいくつも出てきます。
これはカーの作品では
珍しいパターン。

犯人が当たったからといって
にんまりはよしましょう。
その後で真っ青になります。

ただし、真犯人は
たぶん想像がつくかも。
もう人物設定時点で怪しい人は
数人に絞られてしまいますからね。

珍しく残酷描写というか
生々しい争いあいも
ほとんどなく、読みやすかったです。
大好き! ★★★★★
悪魔崇拝に謎の自動人形、タイタニック号遭難に不可能殺人。
並べるだけでもわくわくする内容。
トリックの元ネタはルルーの短編かな?
カーの作品では一番好き。
万人受けはしないと思うけど。
模索した次の瞬間には,もう完成の画面に到達 ★★★★★
カーター・ディクスン名義で書いたH・Mものの最高傑作が『ユダの窓』ならば,フェル博士ものの最高傑作は本作品『曲った蝶番』だろう。

絶対的とも言える不可能犯罪の演出もさることながら,驀進してきた怪奇趣向はここで一つ頂点とも言うべく形で実を結びます。
それは悪魔崇拝,自動人形,等々...の道具立てのことでもありますが,このストーリーの中核をなしているタイタニック号沈没の歴史背景を
一要素,一因数として鮮やかに組み込んでいることだ。
そもそもが,怪奇趣味なんてものは現実感の喪失,馬鹿馬鹿しくて荒唐無稽,究極に陳腐になってしまう側面を持っていますが,
後期カーが時代ミステリに傾倒していったように,ここで自ら推し進めてきた作風に一度ケチをつけてみた感がある。が,次の瞬間には既存
を超越する創造をしている所がカーの最も天才的な所だろう。

おもうに,カーの魅力はそこらへんにあって,クリスティが革新的なアイディアを創案していったのには,何が保守的かを知っている裏打ちが
ある訳だし,クイーンの論理の美学だって練りに練った裏打ちが歴然だ。
カーって作家はある意味その裏打ちを省みず(努力を怠ると言う意味では勿論ない),多種多様とか柔軟なんて表面上の造形語彙を真っ先に
かなぐり捨てて,信念の趣くままに《こだわり》続けた作家だろう。それは甚だ変な喩えだが,子供が好きな玩具をいつまでも手放さないのに
似ている。つまるところそれは,《頑固》とか《偏屈》とは次元を異にする1+1を4にでも10にでも出来る天才的な閃きと,あくまで純粋にして
先進的なセンスの発露なんだ。
カーの最高傑作!(と私は勝手に思う(笑)) ★★★★★
この表紙は、むろん再版のものなのだろうが、ちょっとひどい。
読めば判るが、こんな「人形」ではないのです。
『金髪の魔女』と呼ばれた、美しくも恐ろしい自動人形なの。
こんな可愛らしい子供の人形ではない。

で、個人的には、これがカー(カーターも含む)の最高傑作だと思ってます。
この、イギリスの田園地方の、広々と明るいのにもかかわらず、どこか鬱屈した雰囲気。
夕暮れの庭園を跳梁する、奇妙なもの。

こんなくだりを、夜中に1人で読んでごらんなさい、けっこうゾッとしますよ(笑)。

悪魔崇拝だの自動人形だの、怪奇風味を随所に惜しげなくちりばめて、カーの面目躍如たる傑作と思います。

更に、探偵役フェル博士の魅力も満点。
タイタニック号沈没事故を淵源とする、オカルト色濃厚な因縁話 ★★★★☆

准男爵家の子どもが、タイタニック号沈没事故の際に、サーカスに送られる予定の
子どもと入れ替わっていたかもしれないという冒頭の謎は、実に魅力的で、読者を
惹きつけるのに十分。

また、真偽の鑑別の決定的な証拠となる指紋帳を所持した男が登場するのですが、
その男ではなく、“現在の准男爵”が殺害されるという意外な展開にも驚かされます。


しかし、衆人環視の夜の庭園で起きた殺人の真相に関しては、カーの趣味が
ストレートに炸裂しているため、眉をしかめたり、あるいは、拍子抜けに感じる
向きもあるかと思います。


そのあたりが、本作が毀誉褒貶相半ばする要因なのでしょうね。


事件の解明は、フェル博士がダミーの解決を提示することによって事後従犯を誘導し、
真の解決の裏づけをとるという手順を踏むのですが、どちらの解決にも、カーの稚気
溢れるバカトリックが用いられているので、人によっては引いてしまうかもしれません。


要するに本作は、通り一遍のモラルなど物ともしない、カーの遊び心が凝縮された作品なのです。


それにしても、自動人形や悪魔崇拝といった怪奇趣味、そしてラストに用意された「告白」など
からは、乱歩の《少年探偵団》シリーズを思い出しました(本作のほうが、「先祖」でしょうが)。