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幸福な無名時代 (ちくま文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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ガルシア=マルケスにはやはり素質があった ★★★★☆
本書はまだ無名だったガルシア=マルケスによる、雑誌の記事の寄せ集めのようなもの。
普通に読んでいて感じたことなのだが、やっぱりガブリエル・ガルシア=マルケスにはある種の才覚があったのだな、ということ。
とにかく、どんな重大事件が起ころうと、ガルシア=マルケスはクールである。彼の心情というものがこの薄いが濃い文庫から読み取ることができる。
『族長の秋』を思い出して欲しい。残忍非道な「大統領」がいくら自国民を虐殺しようが、書き手(語り手?)はあくまでのほほんとしている。そのアティチュードは、本書におけるガルシア=マルケスのそれではないだろうか。やっぱり、この時期から、彼にはわかっていたのではないだろうか、『ぼくには才能がある』と。そしてそれは間違っていなかった。
経済ネタに感動! ★★★★☆
小説の短編集ではなくて、ベネズエラねたのルポルタージュである。
マルケスがベネズエラの週刊誌の記者だった時代に書いた記事を集めたもの。
コロンビアの新聞記者だったマルケスはヨーロッパ特派員としてヨーロッパに派遣されたが、
派遣元の新聞社がコロンビア政府を批判する記事を書いたため政府に潰され、
マルケスはヨーロッパに取り残される(藁
別の新聞社が、帰国旅費を出して雇おうか?
と申し入れてきたが、マルケスはヨーロッパ文化を学びたくて、
貧乏暮らししながらヨーロッパに留まり、小説を書き始める。
が、コロンビア人の小説がヨーロッパで売れるわけが無い(爆
ベネズエラの週刊誌から申し入れがあって、諦めてベネズエラに渡ったのだが、
ヨーロッパで小説書いていたくせが抜けず、
ベネズエラの政治や経済や特異な人物ネタのルポルタージュの筈だが、
ほとんど小説に近いルポもある。
小説家としてのマルケスも一流とは思わないので、
この本の中のベストは、数奇な運命を辿ったベネズエラ人の物語ではなくて、
経済ネタの「ベネズエラは犠牲を払うに値する」だと思う。
独裁者を倒したものの、独裁者の無茶苦茶の政治の付けで、
新生ベネズエラ民主政府には、外国借款3億ドルの問題が発生する。
貧乏な国が外国に3億ドルもの金借りたら、将来破綻することが目に見えている。
が、今すぐに3億ドルないと、現在の地獄を解消出来ない。
ベネズエラ政府は外国に金借りるつもりであったが、
一人の洋服店店主の行動から、あっと驚く解決策が誕生する。
「素晴らしい国ベネズエラは、国民が犠牲を払うに値する。
 私は個人資産を政府に寄付します。
 国民全てが犠牲を払えば、3億ドルなんてすぐ集る。」
政府は全国民に寄付をお願いするキャンペーンを張る。
低所得者からは1ドルぐらいしか寄付が集らないが、
高所得者はそれなりに出したので、3億ドルを政府は工面出来たのです。
感動のキーポイントは、金持ちが率先してお国の為に金を出したことである。
日本と日本国民に置き換えると、ベネズエラの素晴らしさが理解出来ますね。
では、声高々に叫べ!
「国民に痛みを強いる前に、金持ちの政治家は個人財産を政府に謙譲せよ!」
ノット・ノン・フィクション ★★★★☆
この本に、ノン・フィクションの体裁を求めてはいけない。
けれど、この本にはガルシア・マルケスの想像力と文章のキレがあふれている。
山椒は小粒でピリリと辛い。文章は短くても、マルケスの持ち味は十分に楽しめる。いや、むしろ、短い紙幅に凝縮されているといってもいい。
翻訳の問題? ★★☆☆☆
日本人にとってもっとも情報量の少ない、南アメリカ。そのなかの、ヴェネズエラでの物語は、知らない未知の世界、奇想天外でとっても面白い。しかし、である。この翻訳はなんとかならなかったのか。せっかくの内容がマッタク躍動していないのである。いくら新聞記事であっても、作者の物語性を無視していいものか?その点がとっても残念である。留学中に知り合った友人、ヴェネズエラ人のミゲールに、今度英語で書き直してもらうことにしよう。そうすれば、違いが分かるかも?
足腰の強さがここに。 ★★★★★
マルケスにハマっている私が最初に読んだ彼の作品。冒頭の「民衆が通りを埋めた日」では、自分も革命を歓喜とともに向かえる民衆と行進しているような錯覚に陥った。後書きによればなんと、これは予測記事(事件が起こる前に記事を書いておくもの)であったという!

マルケスが小説作品の中で描く奇妙で幻想的なエピソードが、何故か自然に頭の中に描かれていくのは、新聞記者として現実の世界を読者の脳裏に描かせる基本を身に付けていたからではないだろうか。ここに彼の足腰の鍛練があるのだ。

この本で彼の語り口に親しんだ後に、難解とも言われる彼の幻想的な作品に踏み込んでいけば、あなたも、自然にその世界を体験することが出来るでしょう。