亡命映画監督が祖国に密入国
★★★★★
戒厳令下のチリに潜入して、
軍事政権を告発する映画を撮ろうという
プロジェクトのリーダーである映画監督ミゲル・リティンの
語った体験談をガルシア=マルケスが記録したドキュメンタリー。
007のようなスパイ物語のようでもあるが、
潜入するのはプロのスパイではなく、映画監督である。
変装する際には、自分でなくなる事に抵抗を感じ、
何故、自分の生まれ故郷で、名前を騙り、変装して行動しなければ
ならないんだ!!という憤りがこみ上げてきてしまう。
プロなら絶対にやってはいけない行動をどうしてもやってしまう
ところが、このドキュメンタリーの面白さ、ハラハラさせられる
ところではあるが、行動を共にする同士を激怒させてしまうことも
ある。ミゲル氏が、どんなことを「やってしまった」のかは
読んでのお楽しみ。
ラストのチリからの脱出劇はスリリング!!
あのガルシア・マルケスが!
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この本は、戒厳令下のチリに潜入したある映画監督の行動を記録したルポルタージュである。記録者は、「百年の孤独」のあのガルシア・マルケス!というところが、すごい。私は、この日本語訳が出版された当初に読んだが、つい最近まで本棚の肥やしになっていた。今一度読み返してみて、やはり、これは、いい。みんなにもう一度読んでもらいたいと思うようになったのだ。内容は、読んでのオタノシミ。
緊張感とスピード感のある描写!!
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難解なガルシア・マルケスのほかの小説とは打って変わり、ジャーナリストとしての簡潔かつ緊張感のある描写に、読み進むうちにその世界に取り込まれていきました。現実の事件を題材にしているところからくる簡潔さだけでなく、やはり独特の時間の流れを感じさせる彼の描写方法に、さすがだと感じさせられました。