生老病死 そして循環する時間
★★★★★
フランス パリと片田舎
元鉄道員と画家
変わり映えしない田舎の生活。
同じ犬が毎日バイクを追いかける道。
けれども、手入れをすれば実を着ける果実や野菜。
循環する時間がそこにある。そしてその時間はわずかづつではあるが
一回り大きな円を描いて循環しているようだ。
生老病死という普遍の中で存在する人間や動物。
ラスト近くの鯉釣りのシーン、これまで2回すでに釣られている鯉が
3回目の針に掛かる。そしてその鯉をリリースする。
非常に印象的な場面である。
そして、生き生きとした野菜や風景の絵画が展覧会を飾る。
自然と人間、人間と動物、男と男、男と女。
生きることの輝きを静かにそして美しく見せてくれた。
こころが和みます。
★★★★★
土のにおいが漂う穏やかな陽だまりの中で、ゆったりした自然の流れにのって、感情の豊かさを存分に表現したフランス映画。
彼は画家。
形は満たされて成熟したもののなかで、こころにはロンリーな空虚さが潜んでいる。
ひょうんなことか過ぎ去った遠い思い出を頼りに思わず同級生と再会する。
同級生は庭師として雇われてきたのだ。
飾り気がなく自然な振る舞い、気遣うことのない他愛無い世間話、無邪気なゆったリズム。
今まで朽ち枯れていた雑草地が庭師が手入れするたびに、彩りある作物が実り、豊穣な大地へと変遷していく。
その実りは画家のこころが満たされていくがごとく。
彼は画家なので、絵がうまい。
だが、絵はうんちくではなく、見えたものを想像で描く抽象ではなく、きれいなこころになれば素直にそれが絵に表れることに気づく。
それは、形だけで満たすものではなく、こころの底から愛することの素直さに気づく。
日常雑多なライフワークの中では、形が先行してしまうと、つい素直な気持ちを忘れがちになってしまいますが、そのこころの原点というものを気づかせてくれるとってもハートフルな作品です。
素朴な情景の中に、こころのやすらぎを覚え、こころがリフレッシュするおススメの映画です。
中年の二人の友情。切ないラストが印象的
★★★★☆
カンパーニュとはフランス語で「田舎」。また伝統的な食事パンのことも指すようです。この映画はそのカンパーニュ(田舎)で、画家と庭師の友情を描いた映画です。偶然子供の時に同じ学級にいた友達だった、という少々強引な登場人物の設定で、さらに映画冒頭いきなり画家と庭師として再会する場面から始まります。でもその二人の会話のやり取りはとても温かみがあって、何も隠さず、言いたいことを言い合う二人の姿は見ていて笑顔が出ます。画家と庭師という何の接点もない彼らだけれど、お互いの自分には無いところを補い合って、屈託のない会話を続けていくところは本当の友情というものを感じさせてくれます。助け合い深い友情を育んでいく様子はとても心に染みました。
映画序盤は明るい場面の連続で、終盤に彼らに辛い不幸が訪れる。ありきたりの映画展開だったけれど、画家のキャンバス(ダニエル・オートゥイユ(『ぼくの大切なともだち』))は離婚ぎりぎりの状態で妻や娘と心が通じなかったり、庭師のジャルダン(ジャン=ピエール・ダルッサン(『サン・ジャックへの道』))は過去に国鉄に就職したときの大変だった思い出を語ったりと、幅の広い物語で映画に見入ってしまいました。
中年の男たちの友情と、片田舎の自然美溢れる情景。心温かく、そして寂しく悲しいラストが印象的な、切ない映画でした。
人生の宝物のような映画だった
★★★★★
私も、あの片田舎にいて、オジサンたちと一緒に
太陽の光を浴びているような気持ちになりました。
美しい風景に癒されながら、のんびり呼吸したり、
野菜をいじったり、見ているだけでそんな気分に。
爆竹のエピソード、ニースでの休暇の話、芸術家の
夢を封印した父の水彩画の話。剛毛さんのお葬式。
死神の話、「帰れ!バカ犬」などなど・・
この映画に流れている心地良い空気と、素晴らしい
友情は、人生の宝物なんじゃないかと思いました。
畑に寝そべったオジサンの台詞も心に染みました。
「菜園が人生だから」と涙が溢れて仕方がなかった。
「バッテリーが切れると衰弱する。死ぬことにも
抵抗がない。何に対しても無欲になるんだよ・・」
空虚だった画家にとって、あの素晴らしい友情は、
いつもでも心の中で輝きを放つのでしょうね・・。
そう思える味わい深さに、私も幸せを感じました。
ちょっと疲れた大人の方にオススメの映画です。
流麗な
★★★★★
活動拠点のパリから地元に戻った画家が、小学校同級生の元国鉄勤務・現庭師と再会する。大人になってから再開する心の交流が見事。2人のなにげない日常会話は飽きません。庭(野菜、花)が当たり前のようにそこにあるようなフランスの田舎生活がうらやましくなります。最後まで心地よく見れました♪