地質学が総合的な科学であることを示してくれます
★★★★☆
第1巻で地球の成り立ちを示してくれたが、本書ではいよいよ地層の形成とその変化のメカニズムについて知ることができる。
冒頭の砂丘の成り立ちと風紋のできる仕組みの解説では、フィールドワークと物理学、流体力学の組み合わせで直感のまちがいを論理的に指摘してあり、読んでいて明快で気持ちが良い。地形の形成が流体としての振る舞いで解明できることや、地層内での物理的な応力の解析、変性に伴う水の移動を化学的変化として分析するなど、門外漢からは単なる時間の経過だけが重要な要素と取られがちな本分野が、総合的な科学として見ることが出来て新鮮な刺激だった。
プレートの移動、長期間にわたる変形や熱による変性、さらに上層に降下する堆積物、これらの織りなす地層を解読して解きほぐしていく作業は非常に手間がかかることだろう。さらにそれを古文書からの事実調査や地球上の各地点での観察と照合し確認することで、地球の成り立ちとして再構成していくことは、学者から学者へのこれも悠久の営みだと言えるだろう。
第3巻「地球の歴史」でついに地球の全体像の変遷が語られるかと思うと、待ち遠しくてならない。