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ケインとアベル (上) (新潮文庫)

価格: ¥830
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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面白さがわかりやすい ★★★★★
対照的な2つのサクセスストーリー、ライバルとの対決、恋愛、親子の絆。
さまざまな要素が一つの本にすべて詰め込まれている。

これは翻訳小説全体に言えることかもしれないが、面白さがわかりやすい。
この作品は特にそうで、登場人物から起こる出来事すべてが象徴的かつ印象的だ。

特に、対照的な2人の生い立ちと、その対決がとんでもなく面白い。
あらすじを見れば、誰もが興味をそそられるだろう。
章ごとに視点が入れ変わり、それぞれの思惑がわかるのもいいですね。

序盤では、その生い立ちから、アベルに感情移入させ、ウィリアムを悪役に見せていた。
だが、アベルがのし上がるにつれて、ウィリアム視点での描写を濃くしてゆき、最後の方にはウィリアムに同情を誘うように描かれている。
さらには、確執うんぬんもだんだんぐだぐだにさせる。

そして、最後のあの結末である。うまい。
最後の最後で、悪役だったウィリアムに感情移入させることで、結末が生きる。
単にウィリアムを倒して終わり、ではないのがいいですね。
読者がどのように感じているかを完全に把握した上で、話を創っているように感じました。

ふだん翻訳ものを読まないのですが、この作品はとても楽しめました。
ビデオは感動もの ★★★☆☆
映画があまりにも素晴らしい出来で、本から同じ感動は得られませんでした。
あのような類稀な映画がDVDにもならず、再放送も聞き入れてもらえないなんて悲しい。
死とは決してドラマチックではない ★★★★★
この本を読んで漠然と思ったこと、それは、
「人ってあっけなく死ぬもんだな」ということです。
最近のテレビドラマ(死が物語の起点となるようなドラマ)のように誰しもがドラマチックに荘厳で美しく死ぬわけではありません。
人はあっさりと、簡単に、あっけなく死んでゆくものなのでしょう。

人の生き死にを日常の中で意識しなくなった(逆にテレビで壮絶な死を多く見ることが増えたことは非常に皮肉的でもあります)私たちがどのように「死」と向き合えばいいか、この本は重厚なストーリーの中でそんなことを考えさせてくれます。

蛇足になりますが文章が非常に美しい本でした(といっても横文字の人物が多すぎてそのストーリーの面白さにどこまでついていけたか甚だ不安ですが)。
もし英語力のある人ならぜひ英語でよんでみるといいのかもしれません。
7回読みました。 ★★★★★
人生のドラマ、すべての喜怒哀楽が学べる貴重な1冊。
いろいろな環境の中から、人は生まれ育つ。
その中で、どのように生きたらいいのか、多くの視点と生命力が活字から伝わってくる。

運命と環境、時代に左右されながら、一生懸命に生きる2人の男、ケインとアベル。
冒険小説、ビジネス小説としても読める。

「夏目漱石のような心の内面の描写が素晴らしい」

2人の最後の再会の場面、言葉を交わすこともなく、お互いの気持ちが分かり合えたような、
そんな場面が、僕は大好きです。

この小説を、30人以上の友人・知人にプレゼントしてきました。
「おもしろかった」「一気に読んだ」との声を聴いて、とっても嬉しかった。

読む楽しさも大切です。
それ以上に、この本から、僕は学んで欲しいと心から願っています。
これからも、読み返したい大切な本です。
数奇な運命 ★★★★★
ポーランドの片田舎で生まれたヴワデク(後のアベル)と、ボストンの名家で生まれたケインの人生を描いた大作。
おもしろかった!一気に読めました。
ヴワデクの壮絶な少年時代も、青年時代のホテルのウェイターから出世していく姿にも、
ケインの恵まれた環境と名家のプレッシャーの中で知恵と努力で銀行の中で地歩を固めていく姿にも、
興奮しました。
どちらの主人公も好人物で、私が好印象を持っているこの二人がお互いの立場の違いから仲たがいしてしまうのが、
二人に感情移入している私としては残念でありながら、また同時にドラマチックでわくわくしてすぐに下巻を読まずにはいられなくなりました。