季節を宇宙的想念の中に感じる
★★★☆☆
本書は、人智学の祖であるルドルフ・シュタイナーによる、季節の変遷を宇宙的な想念で綴られた散文詩と共に歩む構成を採った一冊です。表紙や扉を開けて一ページ目の、シュタイナー自身による色彩感覚に富んだ抽象画や、本文の右ページに描かれる抽象的な挿画が、氏の宇宙観を助長して連想させてくれ、ある種絵本にも似た作品であるかと思います。物質世界の中にあっても霊性を大切にしようということが説かれていますが、何か全体を通じて抽象度が行き過ぎており、昨今流行りのニューエイジ的啓蒙書の先駆的なものであるという印象を受けてしまいました(こんなこと言ったら怒られるかな 苦笑)。
ですが、読んでいて自然と心が安らぐ一冊です。季節の巡りの美しさというものを、四季の変化の最も際立った国である日本に生まれながらも、近頃は殆ど感じられずに、無機質な中をただ呆然と生活していたような気がするなあ、と自らの魂の貧困状態を顧みるに到りました。四季に伴う本来在るべき宇宙の母性的抱擁感覚を、本書にて再確認することが出来ることは請け合いです。