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音楽と文学の対位法 (中公文庫)

価格: ¥960
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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青柳さんの”つなげる力” ★★★★★
1人の音楽家と1人の作家を共通する「創作身ぶり」でつなげた6編のエッセイ。
いつもながら青柳さんの”つなげる力”は凄い。
ご自身の演奏や読書体験、資料、想像、二次作品などなどを自由自在につなげて展開される文章には、すごく説得力があって、なるほどなぁ、と感心させられます。

実際関わりのあった2人、同じ時代を生きた2人、全く関係のない2人と様々ですが、
個人的にはモーツァルトとムージル、そしてドビュッシーとランボーは興味深く読みました。
あとなぜボードレールがワーグナーに心酔していたか、というのも非常に説得力があります。

私自身の音楽と文学の世界を広くそして深くしてくれた本書に感謝です。
おすすめ!
ロマン主義を相対化する視点 ★★★★★
 モーツアルトと書いてあればなんでも読むという「モーツァルト病」の私としては書店で見てすぐに買った。そして、第1章「モーツァルト カメレオンの音楽」を読み、同じような論旨の本を読んだなあと思った。よく考えてみると、岡田暁生『恋愛哲学者モーツァルト』(新潮選書)だった。しかし、青柳さんの本の方が先だった(2006年9月,みすず書房)。論じ方は違うものの、モーツァルトの音楽の本質をついていることは共通だった。ロマン主義の悲劇だいいちの感情に対して、ロココ趣味のモーツァルトには「なんちゃって」精神というようなものがあったと思う。まじめな話を真剣にした後で、「なんちゃって」と付け加えてしまうようなサービス精神のようなものである。この本は第2章以降、音楽家はシューマン,ショパン,ワーグナー,ラヴェルと続き、文学者はホフマン,ハイネ,ボードレール,ポー,ランボーと続くが、読み解くキイ・ワードはロマン主義だろう。反ロマン主義、非ロマン主義も含めて。第1章はその展開にふさわしい序章だった。
 音楽と文学がもっとおもしろく見えてくる ★★★★★
音楽も文学もポエジーを表現していることに他ならない。
ショパンの即興演奏は霊感にあふれ、とうてい楽譜に書ききれないで彼自身をいらだたせた〜どうしてシューマンはあんなに美しいメロディーを書きながら、内面にあった葛藤とは?モーツァルトは七色に変わるカメレオンの音楽?ドビュッシーは、ことばを使って表現しきれないところからは音楽の出番ですと語る。「言葉」によるほうが「音」によるよりも創作効果を上げることのできたホフマン〜その他ワーグナー、ボードレールやフランス世紀末人たちが登場し、音楽人、文学人たちは、どんな精神、美学を持っていたのか。時代の雰囲気や芸術潮流もからめて切り込みを入れる。芸術家たちの苦悩や、創作に励む横顔が生き生きとよみがえってくるような待望の一冊。ピアニスト・作家の青柳いづみこ氏ならではの澄んだポエジーを通して、音楽作品や文学作品がもっと面白く見えてくる。