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バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』

価格: ¥2,592
カテゴリ: 単行本
ブランド: 月曜社
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「バートルビー」の作品の方は味わい深い。 ★★★★☆
アガンベンはこの作品の読みとして「語り手」の考えを賛同する立場のように思えますが、このような立場はあまり好かないです。
ただ、この「語り手」の考えを否定した上で読み返したとしても、「バートルビー」という作品自体の味わい深さが変わらないあたりがすばらしい。
もう一度じっくり読みたい ★★★★☆
辺見庸の著作を読んでいて、メルヴィルの『バートルビ−』に興味を持ちました。新たに翻訳された小説は極めて興味深かった。「しないほうがいいのですが」という言葉を重ねることによって最後は命を落とす青年バートルビーの存在は、どうしても語り手(バートルビーの雇用主)と同じ視線で読んでいくと理解不可能な存在です。この雇用主は一般的なレベルで言えばかなりの好人物ですが、バートルビーは前述の言葉を繰り返します。正直言って、アガンベンの論考はよく分かりませんでした。むしろ翻訳者たる高桑氏の論考で紹介されるデリダの抵抗に関する考えは比較的に腑に落ちます。世の中、勝ち組・負け組みなどという醜悪極まりない言葉が流行ったり、自分とその周辺さえ良ければ他には関心を持たない、いや、持たない振りをする風潮がすっかり根を下ろしていますが、善と悪、真実と事実、誠実と不誠実、可か否などという概念の中間に位置したものに根拠を持つ存在(バートルビー)に今を生きる我々にとって相当に重要なヒントがあるように思われて仕方がありません。この本を読んですかさず埴谷雄高の『死霊』を読み返しています。実体と虚体の間…。もう一度じっくり読みたいと思います。
やってられるか! ★★★★★
原光によるやや時代がかった翻訳でも読めるが、本新訳は、その反時代性において誠に文学のあるべき姿をうかがわせる。"潜勢力"なるアガンベンの御託はどうでもよいとも言える。男も女もビジネス的実践によって他者を手段としてのみ扱うことに痛痒は愚か、何の疑問も抱かない。政治家は勿論、一般民衆も勝ち馬に乗ることだけを考えている。価値観は多様化などしていない(「多様な雇用形態を国民は求めている」というのがフリーター容認の政治家の、そして経営者のお言葉だ)。ワーキングプアなどという1日10数時間労働して年収が百数十万円などという者がうなるほどいるのだ。そんなネオリベ経済主義の世界で、バートルビーの存在は異形の姿を呈する。資本にとって、こんな男はクビにすれば済むことだ。しかし、文学の力は、そうあえていえば"潜勢力"としてのみ現れる。それゆえ不穏なのだ。カフカやゴーゴリなどを思わせるとともに、なぜか先年亡くなったアレクサンドル・ジノヴィエフの『酔いどれロシア』が想起されてならなかった。蜂起には遠いが、放棄もまた革命的なのかもしれない。
アガは3点、バートルビーは5点 ★★★★☆
本書はアガンベンの論考+バートルビー+訳者による解説で構成されています。
メルヴィルのバートルビーは結構有名な作品なのですが、
現在では日本語で手に入れるのは難しいので新訳は非常にうれしいです。
非常に特異な作品で今読んでも前衛性というものを感じさせます。

アガンベンの論考についてですが、これは特に目新しいところはありません。
アリストテレスに始まる"潜勢力"(為さないことが出来ること)をアガンベン流にバートルビーに応用しています。
個人的にはアガンベンの"潜勢力"に関する主張は違う本でも何度か目にしていたので目新しい事はありませんでした。
勿論"潜勢力"を介してバートルビーを読解するのも楽しいのですが、インパクトは少々薄め。
『デリダと肯定の思考』に収録されている「潜勢力のエクリチュール」の方がコンパクトなのでアガンベンの"潜勢力"だけ知りたければそちらをどうぞ。

とにかくバートルビーは必見です。