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職業としての翻訳

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 毎日新聞社
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翻訳書の編集者は必読 ★★★★☆
ノンフィクション翻訳家としての鈴木氏の実績、実力については誰もが認めるところだろう。私自身、氏の訳書にふれて、こなれた訳文だと感じたことがある。海外での生活や外国企業勤務などの経験があったようではないにもかかわらず、現場以外では習得しにくいイディオムや業界用語なども、相応にこなしていた。この本は、翻訳家になるまでの氏の足跡、学びの過程とともに、実際に活躍するようになってからの経験をベースに、翻訳家をとりまくさまざまな現実的な問題をストレートに述べており、翻訳という仕事に興味があるすべての人に一読を勧めたい。とりわけ、フリーの翻訳者としては口にしにくい出版社サイドの問題点を、率直に書いている。翻訳という仕事を大事にしてきた人であればこそ、こういう堂々たる主張ができるのだろう。
 しかし、この本を読むと、実に翻訳とは好きでなければできない仕事だと痛感する。それを後輩に教えて、仕事のチャンスを与えるために塾を作り、活動されたとは、驚くばかりだ。鈴木氏が指摘されているように、重版に重版を重ねるという本はめったにないから、協力者や後輩と仕事を分担すれば、一人の手に入る翻訳料は少なくなる。筆者の経験では、協力者に十分、力があったとしても、必ず何らかの手直しや統一などの作業が必要になり、結局は自分一人でやったほうがよいことのほうが圧倒的に多い。時給いくらといった考え方が流行っている昨今、手間ばかりかかって「人並みの収入」を得られないという人が出ても不思議はない。それでも、この仕事には魅力があるし、やり甲斐があるという点を、もう少し書いてほしかった。
 また、業界慣習(ギャラや印税率など)について、駆け出しのころとベテランになってからでは違うはずだが、その辺がいまひとつ誤解をまねきがちではないかと思う。
 どちらかというと著者寄りではなく、編集者寄りという彼の特徴も経歴と関係があることがよく理解できた。その点もふくみ、彼の生き方がすべての翻訳家の手本になるとは限らないし、彼が見聞した翻訳業事情は、一面的なところもなくはないが、参考になる点が多い。
アナルコな翻訳者 ★★★★☆
鈴木主税氏が翻訳しているある本の著者の別の本を翻訳するにあたって、鈴木氏の訳と原著をすりあわせて読んだことがある。こうした作業をすることで、鈴木氏の訳が実にこなれていること、実に読みやすいかということが身にしみてわかった。本書の、鈴木氏のキャリアに関わる部分については正直興味がもてなかった。でも弟子の人びとの成長と挫折へのまなざしは、翻訳のプロは志さない僕自身に向けられているような気がしながら読んだ。そしてコミュナルな翻訳を目指し、時間を割いて集団形成に努力するその姿勢は、翻訳関係に限らず、さまざまな人間の営みにおいて重要なことだと思う。
鈴木氏はアナキスト的だ。
元気をもらいました ★★★★★
お仕事については以前から素晴らしい翻訳で知っていました。翻訳と通訳とどちらにも関心がありますが、鈴木さんの翻訳は読んでいて通訳にも通じているのを感じます。読みながら、著者の声toneが響くからです。苦労話も失敗話も鈴木さんのお人柄ないし礼節を映しているように思われてなりません。読書好きな方、翻訳に関心のある方には是非ご一読をお薦めしたい一冊です。もっと早く鈴木さんのお仕事、牧人舎のことを知っていたら良かったと思います。翻訳して読んでもらいたい本があります。この本を読んで、怖気ずに頑張ろうという気になりました。元気をもらいました。
エキサイティングな本 ★★★★☆
正直なところ翻訳家という存在は何者かということ自体気にしてなかった。

この本はひとりの職業人として両足でたつ成長記録といっても大げさにはならないだろう。
筆者の誠実な文章には感銘をおぼえる。彼には吐露しなくてはならない苦汁の経験を本に書かれている以上にされたのだろうと察せられる。それだけに、彼の主張にはうなずけるのだ。

翻訳を取り巻く世の中の風潮について考えさせられた ★★★★☆
著者は、スティグリッツやチョムスキーなど話題の経済、ビジネス書の翻訳を手がけており、翻訳のレベルも高いので以前から注目していた。しかし、この本は、翻訳の仕事の中身よりも、フリーランスとして仕事をしていく上での苦労や心構えといった話のウェイトがやや高く、その意味では期待していたのとは少し違ったが、それでも十分参考になるところがあり、考えさせられた。

インターネット上で「翻訳の仕事」をキーワードに検索すると、翻訳家になりたい人を対象にした学校ビジネスが盛んで、みんなが憧れるのは、出版翻訳やメディア翻訳であることが容易に分かる。そして翻訳家に「なりたい人」は山ほど居るが、質を満たす人は不足しているという。

ひょんなことから企業内で翻訳(いわゆる実務翻訳に関わるようになって10年余りの自分の経験からすると、フリーランスの方が恵まれいるとも思えないし、実務翻訳が出版翻訳に比べて低いスキルでできるというものでもない。社会的な意義が小さいということもない。しかし、そういう立場での職業翻訳家を目指す人のためのガイドは、「フリーランス」や「翻訳家」になりたい人にはあまりアピールしないかもしれないな、などと思った。