■本書は、「漫画学」の教科書である。あとがきによると本書の由来は次のようなものだ。長谷さんは、大垣女子短期大学、椙山女学園大学などで「漫画学」の講師をしておられるのだが、氏が初めて大垣女子短大からの依頼で98年4月から講義をするにあたり、教科書として適当な書物を探したが、今のわが国にそういう本はなかった。それで、自ら詳細なノートを作って、授業に臨むことになった。それをまとめたのが本書というわけだ。
■漫画の歴史や、コマ割り、登場人物の表情などの表現方法に至るまで、実作者ならではの視点と分析、語り口が絶妙である。
■長谷さん!は90年代半ばに、データハウスから『ニッポン漫画家名鑑』(94年3月)、『ニッポン名作漫画名鑑』(95年2月)、『ニッポン漫画雑誌名鑑』(95年6月)という三部作を出版しておられるが、それらを企画編集したのが田中立美さんという編集者だった。本書の版元・インデックス出版はその田中氏のおこされた出版社なのだ。すべての長谷ファンは、『パロディ漫画大全』(水声社)と共にぜひ本書もお読みいただきたい。